物理学C I-a   General Physics C

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担当教員
西田 信彦 
使用教室
水3-4(W631)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
1561
シラバス更新日
2011年5月10日
講義資料更新日
2011年3月23日
学期
前期  /  推奨学期:1

講義概要

I. 熱と波動 テキストは配布する。
II. 前半、熱学 後半、波動。
III. 毎回、ホームワークを課す。

はじめに  
物理Cでは、熱と波について学ぶ。これらは、物理を勉強するのに大変に重要であることを簡単に説明しておく。

[熱力学]
講義の前半は、熱が関係する現象とその研究から発見されることになった普遍的な熱力学の法則を学ぶ。
木をこすりあわせて、火をおこす方法は昔から知られていた。日なたにいるほうが、日陰にいるより暖かく感じる。熱いお湯と冷たい水と混ぜると、その中間ぐらいの暖かさになる。寒くなると水は凍りになる。熱すると、氷や金属などの固体は融けて液体となる。これらは、昔から人々が経験してきたことで、その中から、熱、温度の考え方が現れてきたと推察される。さらに、17世紀、蒸気機関が発明され、熱を用いて仕事をさせることが可能になった。このようなことがらに基づき19世紀、「熱とは何か?」の考察がなされ、「熱とはエネルギーのひとつの形である」認識された。熱を別の形のエネルギーに変換する方法についての考察から、新しい物理量「エントロピー」が発見された。つまり、熱の研究から、エネルギーの全総和は変わらないというエネルギー保存則(熱力学第1法則)と、ものの状態変化が起こるときエントロピーは増大するというエントロピー増大則(熱力学第2法則)なる、物理現象を理解するための普遍的な原理が発見されたのである。
  講義では、熱が関係する現象を簡単に説明したあと、熱力学三つの法則を学ぶ。熱が関係する現象を定量的に計算する基礎まで説明する。ものは原子からできていることも19世紀に認識されたことである。その立場から、すなわち、原子という粒子の運動によって熱力学の法則がどのように解釈できるかについても簡単に説明する。
  高校で熱学については、少し学んできているが、熱力学の三法則は自然を理解するための大変重要な法則であり、エントロピーという新しい量、熱の関係する現象の系統的な計算の仕方等、新しいことが多く扱われるので、よく勉強して学んでほしい。

[波動]
  後半は、波について学ぶ。音、水の波、地震、津波等の力学な波、光や電磁波の電磁気現象、さらには、量子力学で記述される現象等で、干渉、回折等の波動に特有な現象が共通して観測される。波動現象として一般的に扱う方法を説明する。
  波動についても高校のとき、物理Iで学んだが、式として、波をいかに表現するか、また、定量的に波をどのように扱うかは、習わなかった。講義では、音、光の波としての振る舞い、干渉、回折の定量的計算のしかたを学ぶ。このように、波動の考え方は、力学、電磁気学、量子力学等に共通に出現するものであり、また、大学であたらしく学ぶことであるので、熱心に勉強して欲しい。

講義の目的

この講義は、I類を対象とし、波動と熱学を扱う。講義内容は以下に示されているが、項目によっては多少の取捨選択もある。波動および熱現象を究明する際の物理学の方法や概念を身に付け、それらを実際に応用できるようにする。

講義計画

<熱学>

1 温度と熱
熱平衡状態、温度と温度計
物質の状態変化(熱膨張、気体の状態変化、相転移等)
熱(潜熱、熱の移動:熱伝導、熱放射、対流)
理想気体と分子運動(マクスウエルの速度分布)

2. 熱力学第1法則
力学的状態と熱力学的状態
内部エネルギー
気体への応用(気体の断熱変化)

3. 熱力学第2法則
不可逆過程、準静的状態変化
カルノーサイクル
熱機関の効率、熱力学絶対温度
エントロピー
熱力学第2法則の力学的定式化

4.熱力学第3法則

5. 平衡の条件と自由エネルギー
ヘルムホルツの自由エネルギー、ギブスの自由エネルギー
熱力学の応用(ジュール・トムソン効果、クラペイロン・クラウジウスの式)
熱力学特性関数と熱力学の関係式



<波動>

1.波動の基本的性質
  ・波動の数学的表現・波動の重ね合わせとフーリエ分解
  ・波動の一般的性質(反射、干渉、回折、うなり、ドップラー効果、衝撃波)

2.力学的な波
  ・弦の波(運動方程式から波動方程式へ、・波のエネルギー、・波の反射とインピーダンス、・弦の定在波)
  ・浅水波:津波
  ・音波(速さ、音波のエネルギー)

3. 光とは何か?
  ・屈折ースネルの法則
  ・光に干渉、回折はあるか?
    ヤングの2スリットの実験、フラウンホッファー回折、回折格子
  ・光の速さ、波長
  ・光は、縦波か横波か?
    偏光現象
   

教科書・参考書等

演習問題が数多くのっているものとして、
大学演習 熱学・統計力学[修訂版] (裳華房) 久保亮五 他 編
がある。
「物理学とは何だろう」(上、下) 朝永振一郎 (岩波新書):熱学について書かれている。読むことを薦める。

関連科目・履修の条件等

なし

成績評価

学期末試験と提出課題による。

担当教員の一言

熱学、波動は、物理現象を理解するのに大変重要な

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