微分積分学第一 P   Calculus I

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担当教員
池田 和正 
使用教室
火1-2(W521)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
1004
シラバス更新日
2011年4月12日
講義資料更新日
2011年3月23日
学期
前期  /  推奨学期:1

講義概要

I 理学および工学に必要な微分積分学の基本を修得する。微分積分学第二(A又はB)に継続する。講義のよりよい理解のために微分積分学演習第一をあわせて履修すること。
II 極限の基本概念,微分法,偏微分法,およびこれらの応用。

講義の目的

(1) アイザック-ニュートンは神がどのように天地を創造したかを研究している
中で微積分の概念にたどり着いた. 現代では, 日常の森羅万象が微積分で
語られているといって過言ではない. この授業では, テーラー展開や
偏微分と重積分の計算と応用が手早くできるようになることを目指す.
(2) 数学的, 論理的に書かれている文章を速く正確に読み取れ,
また, 記述することができるようになること.
(3) 溢れる情報の中から, 適切なものを選択し,
真実性を検証し, 正しく判断できる推論能力を育成すること.
そのために, 与えられたものの真偽を疑い, 根本から洗い直し,
再構築する態度を身につける.

講義計画

教科書に沿って進め, 60分講義, 30分小テストをする予定です.
試験は最も効率的な講義です. 他人の話を聞いたり, 本を読むより,
自分の頭で問題を考えて, 自分の手を動かして計算した方がずっと理解が
進むので, 中間試験を複数回やったこともあるのですが,
作問や採点に膨大な手間がかかるため止めました.
小テストは, 授業のフィードバックの意味もありますが,
わからないことの質問や, 教室の不具合(寒い暑い, 暗い眩しい,
広くて声が聞こえない, 黒板が遠い小さい隠れる白くなる
チョークの乗りが悪いetc.)の文句も書いていただいて構いません.
随時, 大学側へ報告して, 教室変更などの交渉をします.
授業に集中してもらうため, プリントは配ったとしても1枚とします.
他人のノートの複写などの資料を集めて安心してしまうことのないように.
まだ, 学科のカリキュラムや日程表や教科書が手元に来ていないので,
暫定的に昨年と同じものを書いておきます.
試験の日程など, 変更の可能性があるので, 授業中の指示を聞き逃さないこと.
回 実施日 内容
01 04/13 コーシー・シュワルツの不等式. 三角不等式. ε-N論法.
02 04/20 ボルツァノ・ワイエルシュトラスの定理. コーシ列. 完備性. 全射, 単射.
03 04/27 定義域. 終域. 値域. ε-δ論法. 上界. 上限. 下界. 下限.
☆ 05/04 緑の日で休み.
04 05/11 集積点. 閉包. 開核. 内点. 稠密. 上極限, 下極限, 開集合, 閉集合. コンパクト.
05 05/18 コンパクト集合内の無限点列は, 収束する部分列を持つ. コンパクト集合上の連続関数は, 最大値・最小値をもつ. 一様連続. リプシッツ連続. ランダウの記号.
06 05/25 1次微分形式. ライプニッツの公式. 逆三角関数とその導関数. 双曲線関数とその逆関数.
07 06/01 2次近似式と凹凸. テーラーの定理. マクローリンの定理. コーシーの平均値の定理. テーラー展開. マクローリン展開.
08 06/08 前期中間試験.
09 06/15 2項定理の拡張. ヘルダーの不等式. ミンコフスキーの不等式. l^p 距離. エンセンの不等式.
10 06/22 ロピタルの定理. 偏導関数. C^1級. C^2 級なら f_{xy}=f_{yx}.
11 06/29 2変数関数の連続性. 偏導関数が連続でない例. 全微分(1次微分形式). C^1級なら全微分可能. 接平面の式.
12 07/06 合成関数の微分. f(x,y)=0 の法線ベクトル. 鎖公式. ヤコビ行列. 偏微分作用素の極座標への変換. 2変数のテーラー展開, マクローリン展開.
13 07/13 2変数1次関数のグラフ. 2変数2次関数のグラフ. 鞍点. 1次近似式は節平面の式. ヤコビベクトル. ヘッセ行列.
14 07/20 ヘッセ行列の固有値が全て正なら極小, 全て負なら極大. ラグランジュの未定乗数法.
15 07/27 前期期末試験.
シラバスを一度決めたら2度と変えないといった, お役人的姿勢はとリません.
生徒の大半を置いてけぼりにするような講義では意味がないので, 生徒の顔を見たり, 小テストで理解度を調べながら,
臨機応変に取捨選択して講義します.
通常の教科書では, 前期が1変数, 後期が多変数となっていますが, 本学では, 前期が微分, 後期が積分と定められています.
図形への応用を中心に, 幾何的なイメージを重視し, マニアックな計算に深入りしないようにします.
手に取って扱える具体例を挙げて講義し, 定義→定理→証明の羅列といった抽象論は避けます.
なお, 学校は接客業ではないので, 「満足度」の向上を目指して授業することはありません.
今, 辛い思いをして頑張ると, あのとき勉強してて良かったと, 30歳, 40歳になって感じます.
逆に, 怠けて楽をすると, 勉強しておけばよかったと
将来, 痛切に感じることになります. そのときになって
初めて, 過去の自分の態度が満足いくものであったか
どうかが判断できるようになります.
教室で「熱意」を演出することもありません. 黒板に向って淡々と授業をします.

教科書・参考書等

「復刊 朝倉数学講座3 微分学」・能代清・朝倉書店

関連科目・履修の条件等

微分積分学演習第一をあわせて履修すること。

成績評価

小テスト約30%, 中間試験約35%, 期末試験約35%の割合で評価する.
中途の成績に応じてレポートを課す人が出ることもある.
小テストは出欠の確認を兼ねるので, できなくても必ず提出すること.
人の話を聞くのは勉強の内に入らないから自分でやれという先生と,
授業に出てちゃんとノートを取れという先生と2種類いると思います.
前者の立場では出席点は不要ですが, 後者の立場では出席点を評価する
ことになります. この授業では後者の立場をとります.

担当教員の一言

2009年度の日本のGDP(国内総生産)を調べると, 名目, 自国通貨ベースで
1992年の額にまで低下しています. その間, アメリカは2.3倍に,
中国は5倍に伸びています. 国内の生産(仕事)が減るということは,
国内に就職口が無いことを意味しますから, 由々しき事態です.
こうした時代に頼りになるのは, 自分自身の能力だけです.
3年生になると, エントリーシートの書き方や, 面接の受け答えの仕方を慌てて対策
する人がいます. しかし, こうした付け焼刃的な方法では, 進学や就職先の
人事担当者をごまかすことはできません.
1,2年生の今から, 日々真面目に努力して, 真の実力を身に付けてください.
予習では, 教科書の該当箇所を事前に読んで,
問題を解く. 授業では, 予習でわからなかった所に意識を集中して聞く.
復習では, 予習のときにできなかった問題を, 何も見ないで
再度解くことを試みるとよい. こうすると,
効率的に「自ら生きる力」が身に付きます.
他科目もしっかり勉強して「優」の割合が3分の2以上になるように
頑張って欲しいです.
i. 便所は休憩中に行っておくこと.
ii. 授業中に歩き回ったり, 無駄口をしないこと.
iii.授業中にメールやwebの閲覧, ゲーム, 飲食喫煙などしないように.
iv. 教室内を無許可撮影, 録音などしないように.
v. 教室に私物やごみを置きっぱなしにしないように.

その他

I. 訂正等がある場合, 前の黒板のみに書いて告知します. 良く見えるよう前の方に座ること.
II. メモなどを机の中や椅子の下に置かず, 鞄の中にしまい口を閉めること.
III. 周りの人の答案を見たり, 見せたり, 見られたりしてはいけません.
IV. 携帯や電子辞書のスイッチは切ること. 電卓, 時計としての使用も認めません.
V. 写真のついた学生証, 忘れた場合は事務の発行する仮学生証などを机上に置くこと.
VI. 成績を付けるためには, 正確な名前と番号が必要になります. 教官名は不要です.
VII. 答えだけでなく, 解答用紙に収まる程度の簡潔な説明も書くこと.
VIII.解く順番は自由ですが, 問題番号順に書くこと.
IX. - が薄く残っているなど複数通りに読める解答は不正解とします.
X. 答がどこにあるかを四角で囲むなどして明示すること.
XI. 解答用紙のみを回収します. 返却はしません.
XII. 解答用紙を枚数管理するので, 過不足なく提出すること. 複数枚の場合はちぎらないこと.
XIII.自分の書いたことを忘れる人は, 自己採点用に別紙に答を転記しておいて下さい.
XIV. 個別の得点は不開示です. 反対者がいなければ一括開示します.
XV. 追試, 再試, 期末後のレポート課題は行ないません.
XVI. 進級, 進学, 就職の都合での成績の変更は行いません.
XVII.次回の定期試験の範囲は今回の試験より後に講義した内容となります.

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