現代史   Contemporary History

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担当教員
布施 広 
使用教室
金1-2(W521)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0133
シラバス更新日
2011年9月20日
講義資料更新日
2011年9月20日
学期
後期  /  推奨学期:4

講義概要

現代の世界を分かりやすく分析します。3月の大震災は深刻な原発事故を呼び、日本はチェルノブイリに匹敵する危機に直面しました。米同時多発テロから10年を迎えた世界では、中東の民衆運動が活発化し、「アラブの春」と呼ばれる大変動が続いています。2012年には米国、ロシア、フランス、韓国で大統領選があり、中国の国家主席も交代します。世界が激動する中、世論誘導国際的に巧みになって、真実とウソが見分けにくい時代といえるでしょう。担当教員は新聞社の論説委員で、カイロやワシントンで特派員を務めたほか、イスラエルにも留学しました。海外での実体験、たとえば湾岸戦争(1991年)や同時テロ(2001年)を踏まえ、今まさに日本と世界で起きていることをやさしく解説します。価値観が揺れ動く時代を生き抜くには、したたかな洞察力と知性とが求められます。素朴な疑問や問題意識を大切にしましょう。

講義の目的

情報が氾濫する世界で、「何をどう考えるか」を考えることが主眼になる。講師は日本の戦争を知らないシラケ世代だが、海外で戦争や武力紛争をしばしば取材した、いろいろと思うところがあった。人の生き死にに関する体験や国際政治の実態などを説明し、講師自身が考えたことを若い人にぶつけたい。国際政治の世界は「まことしやかなウソ」にだまされないことが肝要だ。

講義計画

(順不同。情勢に応じて内容は変わります)
1. 9・11同時テロから10年後の世界――テロとの戦いをめぐる情報戦・謀略戦の実態。今後の日米関係と世界情勢を展望する。日本はどんな役割を果たしていくべきか。同時テロ後、アフガニスタンとイラクで戦争を始めた米国は、どこで間違えたのか。
2. ミサイル防衛(MD)と東工大――日本は北朝鮮の脅威を追い風にMD導入を急いでいるが、マサチューセッツ工科大(MIT)の
教授らは「現行システムでは迎撃は無理」と断言する。日本ではなぜ、MDの技術的可能性(feasibility)をめぐる論議が低調な
のか。
3. 北朝鮮の思惑――飢える国民をよそに先軍政治を推進する金正日総書記は核実験を2度も行った。金正恩氏を後継者に選び、「強勢大国」をめざす北朝鮮の核、ミサイルの脅威をなくすのは可能か。
4. 中東動乱――チュニジアから始まった民衆運動のうねりは、エジプトのムバラク政権を倒し、王日の軍事的協力を得た亜リビア反体制派によるカダフィ政権打倒につながった。他方、米軍戦闘部隊が撤退したイラクでは、なおテロが続き、アフガニスタンでは微意国が敗北の危機に直面している。中東・イスラム世界はどう動くのか。
5. 日本と中国――恐るべきスピードで経済成長を続ける中国。アメリカと中国の間で優秀な学生の相互乗り入れも進んでいる。な
ぜ日本と中国はいがみ合うのか。日本は蜜月関係にある米中についていけるか。
6. イラン核問題――イスラエルがイランの核施設を攻撃するという情報が流れている。イランと対立してきたアメリカの動きも見
逃せない。核問題はどんな展開を見せるか。
7. イスラエルという国――パレスチナを占領し、過剰な武器使用が非難を浴びるユダヤ人国家の論理。アメリカがイスラエルを
「無条件に支持」するのは、なぜなのか。
8. 「宗教国家」アメリカ――「サルが人間になった」という進化論教育をめぐりアメリカでは訴訟も起きている。宗教右派、ネ
オコンも含めて、強い宗教的ベクトルが働いているアメリカは「意外に分かりにくい国」だ。
9. 日本とイスラム――日本は宗教色の薄い国だが、それでは世界の動きを必ずしも理解できない。特にイスラム教徒は何年か語にはキリスト教徒に代わって世界最大勢力になると予測される。常任理事国入りをめざすにもイスラム理解が必要だ。5月に明軍が射殺した9・11テロの首謀者、ウサマ・ビンラディンの思想にも言及する。
10. 憲法改正の展望――中国やロシアの領土的圧力もあって、日米同盟強化を望む動きが強まっている。集団的自衛権や憲法改
正問題も重要な討議課題になりそうだ。
原発事故に端を発したエネルギー議論も含めて、日本の外交。安保のあり方を考える。
114その他、日本の文化・社会の問題(教育、いじめ、犯罪など)も折に触れて取り上げる。

教科書・参考書等

特定のものはなく、必要に応じて資料を配布します。なるべく新聞を読んでください。

関連科目・履修の条件等

この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。

成績評価

 期末のレポートと出席状況で判断します。

担当教員の一言

自分の頭で、楽しく、粘り強く考える習慣を。そのためには、新聞や本を読んで様々な意見を知ることが大事です。
 と同時に、自分の疑問を人にぶつけることが大切。どんどん質問してください。質問を恥ずかしがっているうちは、世界と競争することはできません。なお、人数制限をする場合があるので、一回目の授業に必ず出席すること。

その他

推奨学期:4学期
連 絡 先:大岡山西9号館7階714号室 価値システム事務室

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