この授業では、大江健三郎、安部公房、倉橋由美子といった、サルトルなどの「実存主義」から影響を受けたとされる作家の登場以降に書かれた小説を、日本の「現代文学」としてあつかう。あつかう作家としては、上記の三名と、深沢七郎、藤枝静男、古井由吉、村上龍、中上健次、村上春樹、笙野頼子、阿部和重といった作家の書いた作品を予定している。ひとりの作家につき、ひと作品といった配分でおこなう。
あわせて、メタファーやメトニミーといった比喩表現、ストーリーとプロットのちがい、言語学的な知識といった、現代批評における基礎となる理論も紹介していく予定である。
3月11日におきた「東日本大震災」は、いまだ進行中ではあるが、おそらく戦後最大のトラウマとなる出来事である。
映画『ゴジラ』などをみればわかるように、戦後の日本においては「戦争」という出来事を「自然災害」として表象することによって、このトラウマを飼いならしてきた。この震災は、小説や漫画、映画においてフィクションとして語れた奇想天外な災害が、本当に実現してしまったという点において画期的である。
それと同時に、東京都知事による「天罰」発言に代表されるように、この出来事を何か意味をもった「物語」として語ろうという動きがみられる。また原発事故の報道のように、受容する側に「リテラシー」が要求される事態が継続している。こうした状況に対処できるような理論をねりあげつつ、当初の予定である現代文学という枠をくずさず講義していく予定である。
○授業の初回はガイダンスにあてることとする。くわしい予定、単位取得の条件や成績評価の基準、授業の主旨等は、このガイダンスで説明する。
○GWまでの授業において、必要な文献の紹介する。また、あわせて、小説を読むにあたって求められる文学理論などを、「東日本大震災」での報道のあり方などを題材として説明する。
○5月から、上記の作家をあつかった現代文学の読解に入る。
具体的なテキストはガイダンスにて紹介する。
この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。
単位取得の条件は、授業への参加と、学期末でのレポート提出である。事前に作品を読んでおくことが望ましいが、ノルマとはしない。成績は提出されたレポートによって決定する。詳しくはガイダンスにて説明する。
人数制限をする場合があるので、一回目の授業に必ず出席してください。また、あつかう作品によっては、暴力の表現、性的な表現といった、人によっては不愉快に思われるような要素がふくまれる場合があります。
推奨学期:7学期
連絡先:大岡山西9号館7階714号室価値システム専攻事務室