現代史   Contemporary History

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担当教員
布施 広 
使用教室
金1-2(W521)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0133
シラバス更新日
2010年9月21日
講義資料更新日
2010年9月20日
学期
後期  /  推奨学期:4

講義概要

 現代の世界を分かりやすく分析します。国際的な世論誘導が巧みになって、真実とウソが見分けにくい時代です。「イラクの大量破壊兵器の脅威」が全くの幻だったように、誤った情報が世界を破滅的な局面へ導くこともあります。担当教員は新聞社の論説委員で、カイロやワシントンで特派員を務めたほか、イスラエルにも留学しました。海外での実体験、たとえば湾岸戦争(1991年)や9・11同時テロ(2001年)などを踏まえ、今まさに日本と世界で起きていることをやさしく解説します。価値観が揺れ動く時代を生き抜くには、したたかな洞察力と知性とが求められます。素朴な疑問や問題意識を大切にしましょう。

講義の目的

情報が氾濫する世界で、「何をどう考えるか」を考えることが主眼になる。講師は日本の戦争を知らないシラケ世代だが、海外で戦争や武力紛争をしばしば取材した。人の生き死にに関する体験や国際政治の実態などを説明し、講師自身が考えたことを若い人にぶつけたい。政治の世界は「まことしやかなウソ」にだまされないことが肝要だ。

講義計画

(順不同。情勢に応じて内容は変わります)
1. 9・11テロ後の世界――テロとの戦いをめぐる情報戦・謀略戦の実態。今後の日米関係と世界情勢を展望する。日本はどんな役
割を果たしていくべきか。
2. ミサイル防衛(MD)と東工大――日本は北朝鮮の脅威を追い風にMD導入を急いでいるが、マサチューセッツ工科大(MIT)の
教授らは「現行システムでは迎撃は無理」と断言する。日本ではなぜ、MDの技術的可能性(feasibility)をめぐる論議が低調な
のか。
3. 北朝鮮の思惑――飢える国民をよそに先軍政治を推進する金正日総書記は核実験を2度も行った。この国の後継体制
はどうなるのか。核、ミサイルの脅威をなくすのは可能か。
4. 中東動乱――米軍戦闘部隊が撤退したイラクは、なお国家分裂の危機に直面している。動乱の気配は、レバノンやパレスチナにもある。
イラク周辺諸国はどう動くか。オバマ政権はピンチを乗り切れるか。
5. 日本と中国――恐るべきスピードで経済成長を続ける中国。アメリカと中国の間で優秀な学生の相互乗り入れも進んでいる。な
ぜ日本と中国はいがみ合うのか。日本は蜜月関係にある米中についていけるか。
6. 靖国問題――なぜ小林よしのりが支持されるのか。靖国に代わる国立追悼施設構想はどうなる。主要メディアによる靖国論争の
背景は?
7. 石油のグレートゲーム――いつかは尽きるという石油資源をめぐり、中国とロシア、アメリカなどがしのぎを削る。紛争の火種
にもなっている。日本のエネルギー安保は大丈夫か。
8. イラン核問題――イスラエルがイランの核施設を攻撃するという情報が流れている。イランと対立してきたアメリカの動きも見
逃せない。核問題はどんな展開を見せるか。
9. イスラエルという国――パレスチナを占領し、過剰な武器使用が非難を浴びるユダヤ人国家の論理。アメリカがイスラエルを
「無条件に支持」するのは、なぜなのか。
10. 「宗教国家」アメリカ――「サルが人間になった」という進化論教育をめぐりアメリカでは訴訟も起きている。宗教右派、ネ
オコンも含めて、強い宗教的ベクトルが働いているアメリカは「意外に分かりにくい国」だ。
11. 憲法改正の展望――オバマ政権の発足後、日米同盟強化の方向で再検討しようという動きが出ている。集団的自衛権や憲法改
正問題も重要な討議課題になりそうだ。
12. 国連安保理――常任理事国入りに一度は失敗した日本は、虎視眈々と巻き返しをねらっている。しかし、United Nations は
「国連」というより第二次世界大戦の「勝者連合」であり、日本は常任理事国にふさわしくないという反対論も根強い。この
「壁」をどう乗り越えるか。
13. 日本とイスラム――日本は宗教色の薄い国だが、それでは世界の動きを必ずしも理解できない。特にイスラム教徒は何年か後
にはキリスト教徒に代わって世界最大勢力になると予測される。常任理事国入りをめざすにもイスラム理解が必要だ。
14. その他、日本の文化・社会の問題(教育、いじめ、犯罪など)も折に触れて取り上げる。

教科書・参考書等

特定のものはなく、必要に応じて資料を配布します。なるべく新聞を読んでください。

関連科目・履修の条件等

この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。

成績評価

 期末のレポートと出席状況で判断します。

担当教員の一言

自分の頭で、楽しく、粘り強く考える習慣を。そのためには、新聞や本を読んで様々な意見を知ることが大事です。
 なお、人数制限をする場合があるので、一回目の授業に必ず出席すること。

その他

推奨学期:4学期
連 絡 先:大岡山西9号館7階714号室 価値システム事務室

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