柳田国男の『遠野物語』の世界を紹介する。『遠野物語』は20世紀初頭の岩手県遠野地域の伝承を集めたもの。日本民俗学の古典だが,名文の誉れ高く,山男・山女,河童,ザシキワラシ等々の登場する話で一般にも広く知られている。講義では,有名な話のいくつかに焦点を絞り,分析をほどこすことで,物語というものの仕組みを明らかにし,それがたんに百年前の東北地方の問題ではなく,現在の我々の想像力や宗教意識,霊魂観や自然観,さらには物の考え方にまでかかわる重要な問題につながることを明らかにしていく。今年は『遠野物語』出版百年に当たるので、「国語」と後期の授業「日本文学」と継続して『遠野物語』を解説する。前期だけでも後期だけでも受講はできる。
テーマ 『遠野物語』の世界
柳田国男の『遠野物語』は、ほぼ百年前の東北地方の田舎の人々が語り伝えていた伝承をまとめたものだが、日本民俗学の古典であるばかりでなく、名文の誉れの高い作品である。
山男や天狗、河童、ザシキワラシ、幽霊などが活躍する『遠野物語』は、一見たわいもない話ばかりだ。しかし、そこに分析をほどこすと、民衆の想像力や宗教意識の特質が見えてくる。単純素朴な話がどれほど豊富で意外な「意味」を蔵しているか、講義を通じて堪能してもらいたい。
◆序文……柳田国男、佐々木喜善、遠野
◆『遠野物語』と日本近代文学……田山花袋、泉鏡花
◆山男と山女……異界をめぐる想像力
◆物語とはなにか……オウム真理教、村上春樹、『ドン・キホーテ』等
◆サムトの婆と「風の又三郎」
◆父殺しと母殺し……ヨーロッパの三角形と日本の三角形
◆幽霊と言葉と小説の力……三島由紀夫
『遠野物語』(角川ソフィア文庫)必携
参考書 井口時男『柳田国男と近代文学』(講談社)
この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。
「国語第二」の単位を取得した学生は履修できません。
授業中に出席をとったり感想文を書いてもらったりして平常点として扱う。
学期末に、レポートを提出してもらう。
詳細はガイダンスで。
人数制限をする場合があるので、一回目の授業に必ず出席すること。
推奨学期:7学期
連 絡 先:大岡山西9号館9階913号室(内線2260)