日本における「近代」というテーマで、テキストや図像に即して論ずる。
文明開化とは、西洋近代の科学技術や社会制度の導入であると同時に従来の思想の上に「近代」という時代特有の価値観・嗜好を上書きする過程でもあった。「近代」は、人々に(そして私たちにも)何を忘れさせ、代わりにどんな美しい夢を与え、どんな不安や幻滅をもたらしたのか。博覧会、機械美、人種論、故郷喪失など、明治~昭和の雑多な言説を拾い上げ近代化の諸側面を検討する。
日本における「近代」というテーマで、テキストや図像に即して論ずる。
時計の針が午前九時を指すと、私たちは当たり前のように教室に入り、一斉に授業が始まる。雨の日も風の日も、寝不足でも宿酔でも、大人だったら時間厳守が当然、勤勉さは美徳とされる。近代化に伴って時計と定時法が普及し、時間の規範が日本に定着した。「時計の渡来しより、各々が寿命の縮まりぬといふ」と齋藤緑雨も述べているが、まったくありがとよ、近代、である。
ことほどさように文明開化とは、西洋近代の科学や技術の導入であると同時に、時間意識をはじめ「近代」という時代特有の価値観・嗜好の浸透する過程でもあった。「近代」は、人々に(そして私たちにも)何を忘れさせ、代わりにどんな美しい夢を与え、どんな不安や幻滅をもたらしたのか。博覧会、機械美、人種論、故郷喪失など、明治~昭和の雑多な言説を拾い上げ近代化のありさまを具体的・多面的に検討する。
・近代に流れる時間
・忠君愛国と国民統合
・世界漫遊家の見た日本
・女性・家・国家
・博覧会の世紀
・人種意識と黄禍論
・機械の美しさとは何か
・二つの「日本文化私観」
・総力戦体制と技術
・故郷喪失者たち
毎回プリントを配布。参考文献は講義の中で随時紹介する。
この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。
二回のレポートによる。提出されたレポートは添削して返却する。
まず無いとは思うが、人数制限をする場合があるので、一回目の授業に必ず出席すること
推奨学期:4学期
連 絡 先:大岡山西9号館9階912号室(内線2374)