ジャズと戦後日本文化   Jazz and Postwar Japanese Culture

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担当教員
MICHAEL SCOTT MOLASKY 
使用教室
水9-10(文明センター)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0830
シラバス更新日
2009年10月15日
講義資料更新日
2009年9月28日
学期
後期  /  推奨学期:2,4,6,8

講義概要

本講では映画や文学作品など、ジャズを扱ったさまざまな日本の文化表現を観たり読んだりし、そして各時代のジャズ音楽に耳を傾けたりすることによって、日本人にとってのジャズの「意味」を考察する。昭和初期から現在まで、実に驚くほど多くの文化人たちがジャズに言及し、しかも自らの作品にジャズを題材に使ってきたことは注目に値する。ところが、なぜジャズが(少なくともある時代の文化人達に)圧倒的に好まれたのだろうか。この問いに答えるには、戦前の近代化過程と急変するメディア、戦争と占領、日本の安保闘争とアメリカでの黒人民権運動などの、いわば「非音楽的」要素も考慮する必要があろう。あるいは、この授業ではジャズを通して日本文化を見直しながら、日本文化を通してジャズの意味を問いただすことになる、と換言できよう。

講義の目的

本講では映画や文学作品など、ジャズを扱ったさまざまな日本の文化表現を観たり読んだりし、そして各時代のジャズ音楽に耳を傾けたりすることによって、日本人にとってのジャズの「意味」を考察する。昭和初期から現在まで、実に驚くほど多くの文化人たちがジャズに言及し、しかも自らの作品にジャズを題材に使ってきたことは注目に値する。ところが、なぜジャズが(少なくともある時代の文化人達に)圧倒的に好まれたのだろうか。この問いに答えるには、戦前の近代化過程と急変するメディア、戦争と占領、日本の安保闘争とアメリカでの黒人民権運動などの、いわば「非音楽的」要素も考慮する必要があろう。あるいは、この授業ではジャズを通して日本文化を見直しながら、日本文化を通してジャズの意味を問いただすことになる、と換言できよう。

講義計画

本授業では映画や文学作品でのジャズの使い方に注目し、それによって抽象的なはずであるという〈音〉に対し、どのような意味が付与されるのか検討する。そのためには、さまざまなジャズを聴くことも不可欠であることはいうまでもないだろう。したがって、〈読む〉〈観る〉〈聴く〉ことを通して音楽と文化との関係を〈考える〉にいたることが本授業の最終目標である。さらに、授業に新たな一面を加える方法として、「ジャズ現場」を選び(ライブハウスやジャズ喫茶など)、学生が二人一組になってその場を訪れ、店内の構造、そしてその構造によって形成される「小社会」およびそこで醸成される聴取習慣を分析し、学期末には授業で発表する。映像や録音など多様なメディアの使用も歓迎。なお、発表時間は一組当たり約15分として、その後に質疑応答の時間を設ける。学期末までに、質疑応答を含めて各自が訪れた「音楽現場」でのフィールドワークを踏まえて、個別に最終レポートを提出する。(注:本授業でのテキストおよびディスカッションはすべて日本語で行われる。)

10月7日 イントロダクション――昭和初期のダンスホールと映画での「ジャズ・ソング」(ディック・ミネなど)から終戦まで

10月14日 終戦直後のジャズ(1)――スイング・服部良一と日本式ブギウギ、笠置シズ子など)

1月21日 終戦直後のジャズ(2)――黒澤明の映画でみられるジャズ像

10月28日 1958年というジャズ受容の分岐点――『嵐を呼ぶ男』の混在型ジャズ像/フランス映画『死刑台のエレベーター』とモダンジャズの到来(マイルス・デイヴィス)

11月11日 ファンキー・ブーム――アート・ブレイキーの初来日コンサート/石原新太郎の「ファンキー・ジャンプ」

11月18日 モダンジャズ喫茶全盛時代(1)

11月25日 モダンジャズ喫茶全盛時代(2)――フィールドワーク: 現場に出かけよ!

12月2日 コルトレーン時代と政治的解釈――ラディカルなジャズ評論家たち相倉久人と平岡正明

12月9日 五木寛之のジャズ小説――「さらばモスクワ愚連隊」

12月16日 日本のフリー・ジャズ時代――山下洋輔、富樫允彦、佐藤允彦、阿部薫など

1月6日 フリージャズと前衛ピンク映画――若松孝二、足立正生、大和屋竺の映画作品

1月13日 村上春樹のジャズ・エッセイと小説

1月20日 学生発表

1月27日 学生発表、最終まとめ、各自レポート提出

教科書・参考書等

授業のための映画鑑賞と音楽聴取は基本的に授業の時間内で行われるが、ときに宿題として読む文学作品や評論のテキストがあり、その場合はコピーを事前に配り、テキストを取り上げる当日までに学生各自が読了してくるべきである。

関連科目・履修の条件等

人数制限を行うことがある。

成績評価

定期的出席とディスカッションでの積極的な参加は不可欠。また、フィールドワークに対し、授業での一組二人による口頭発表に加えて各自が提出するレポートも評価の対象となる。

その他

推奨学期:2,4,6,8 連絡先:世界文明センター

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