日本文化論   Japanese Culture

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担当教員
高橋 世織 
使用教室
月5-6(H111)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0137
シラバス更新日
2009年7月30日
講義資料更新日
2009年7月30日
学期
前期  /  推奨学期:3

講義概要

異文化理解とは異文化誤解でしかないのかもしれません。我々もまた,自文化についても本当は誤解をしているかもしれません。自明だとおもっている文化や文化的テクストを,外からのまなざしで再度検証してみましょう。「古池や蛙飛び込む水の音」(芭蕉)が,日本では暗黙裏に蛙は一匹で(数を意識すらしない),どうして諸外国の翻訳では複数になるのでしょうか?本講義では,絵画や庭園・建築,映画などの空間表象の歴史を参照しつつ日本文化における身体観,自然観や死生観を検証します。俳句や季語にも触れていきます。

講義の目的

芭蕉の代表俳句「古池や蛙飛び込む水の音」ひとつとってみても、日本人ならば蛙は一匹しかいないことは、あえて説明しなくても暗黙裏の了解事項である。しかし外国人は、ほとんど複数の蛙が飛び込む像をイメージしてしまう。こうした背後には、言語の問題もさる事ながら、時間や空間に関しての特有な表象意識が介在している。これは、茶道、能・歌舞伎、生け花、浮世絵さらには、現代の日本映画などにも顕在化しているのだが、自然観(特に聴覚、自然音意識)とリンクする空間意識(気配、無や不在に関する感性)と連関しているだろう。幾つかの問題提起と絡めながら検証する。異文化理解とは?自文化とは?ナショナル・アイデンティティとは何かといった一連の問題意識はむろんのこと、地球温暖化対策での日本の主導力が問われる昨今、科学・技術に携わる諸君に対し、日本のすぐれた自然観、エネルギー観、死生観なども射程に入れた講義となるようつとめたい。

講義計画

1) はじめに、日本文化って何でしょう?(日本語における時制、時間観念の変遷)
2) 俳句とシュルレアリスム―<切れ字>とは何か
3) 気候変動と花鳥風月―<季語>再考、歳時記を読む
4) 余白の美学と西欧絵画における<未完成>の概念の比較検討
5) 漫画における無音表象「シーン」考と日本映画のサウンド観
6) 生と死をめぐる象徴主義とリアリズム(能舞台の表象)
7) 「源氏物語絵巻」における<異時同図>という手法
8) 空間をアレンジする生け花(中川幸夫の場合)
9) ジャパニーズ・モード(三宅一生、川久保玲、山本耀司)再考
10) 宮澤賢治における方法としての<心象スケッチ>―「私という現象は」再読
11) 日本映画における<不在>の表象(小津安二郎の映像分析)
12) 邦楽と洋楽―武満徹とJ.ケージの休止符、息、空気の捉え方
13) まとめ(低炭素社会構築に向けての日本の文化力)

教科書・参考書等

参考文献などは随時、教場で指示していきます。

関連科目・履修の条件等

この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。

成績評価

レポート(2000字程度)の提出と出席状況も加味して評価します。

担当教員の一言

人数制限をする場合があるので、一回目の授業に必ず出席すること。

その他

推奨学期:3学期
連 絡 先:世界文明センター(内線3892)

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