ある知識や行動が「科学的である」とは一体どのようなことか。科学がもたらす莫大な成果と社会的影響力を考えると,この問いに正面から向き合うことは不可欠であると思われる。本講義では「科学的説明とは何か」,「理論の正しさを如何にして決定するか」,「法則・観察・モデルの役割は何か」といった問題群に対する厳密な検討を通じて,科学的知識に固有な特徴を探求していく。
科学が孕んでいる固有の諸問題に対して、厳密な分析に基づいた考察を行い、我々が行う自然認識と認識される世界との関係について理解を深める。
科学における具体的な事例に即しながら、科学的知識の合理性、因果性や偶然性、科学が提示する世界像などを巡る問題を考察する。講義は次のようなテーマについて順次進めていく予定である。
・科学方法論入門
・観察と法則;仮説の役割、観察と仮説、法則の正当化
・科学的説明;説明と推論、因果性と統計
・科学の合理性;疑似科学との境界、理論選択の合理的基準
・科学的世界像;科学の目的、実在主義と反実在主義
教科書は指定しない。参考書として次の本を挙げておく。
内井 惣七『科学哲学入門-科学の方法・科学の目的』世界思想社(1995)
西脇 与作『科学の哲学』慶應義塾大学出版会(2004)
戸田山 和久『科学哲学の冒険-サイエンスの目的と方法をさぐる』NHK出版(2005)
この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。
期末レポートおよび講義期間中に実施する小レポートの提出
講義で紹介する科学上の事例以外にも、自分が興味を抱いている分野の場合にあてはめながら、これらの諸問題を自分で考えてみることを是非お薦めします。
なお、人数制限をする場合があるので、一回目の授業に必ず出席すること。
推奨学期:1学期
連 絡 先:大岡山西9号館7階714号室 価値システム事務室