現代史   Contemporary History

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担当教員
布施 広 
使用教室
金1-2(W521)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0133
シラバス更新日
2008年10月1日
講義資料更新日
2008年10月1日
学期
後期  /  推奨学期:-

講義概要

担当教員は新聞社の論説委員で,主に国際政治に関する社説を執筆しています。目の前で起きている事象に対し,どう受け止めて何をすべきか,即時性をもってコメントするのが役割です。いままさに脈打っているニュースを題材に,その歴史的背景やさまざまな角度から解説して,日本と世界を考えたい。現代を見る視点の多様性,柔軟性を養ってほしい。

講義の目的

国際的な世論誘導が活発かつ巧みになって、真実とウソが見分けにくい時代です。「イラクの大量破壊兵器の脅威」が全くの幻、あるいはウソだったように、誤った情報が世界を破滅的な局面へ導くこともあります。担当教員は新聞社の論説委員で、カイロやワシントンで特派員を務めたほか、イスラエルにも留学しました。海外での実体験、たとえば湾岸戦争(1991年)や9・11同時テロ(2001年)などを踏まえ、今まさに日本と世界で起きていることをやさしく解説します。価値観が揺れて浮遊感の強い時代を生き抜くには、したたかな洞察力と知性とが求められます。素朴な疑問や問題意識を大切にしましょう。

講義計画

(順不同。情勢に応じて内容は変わります)
1.9・11テロ後の世界――「テロとの戦争」をめぐる情報戦・謀略戦の実態。今後の日米関係と世界情勢を展望する。日本はどんな役割を果たしていくべきか。
2.ミサイル防衛(MD)と東工大――日本は北朝鮮の脅威を追い風にMD導入を急いでいるが、マサチューセッツ工科大(MIT)の教授らは「現行システムでは迎撃は無理」と断言する。日本ではなぜ、MDの技術的可能性(feasibility)をめぐる論議が低調なのか。
3.北朝鮮の思惑――飢える国民をよそに先軍政治を推進する金正日総書記は、ついに核実験にまで踏み込んだ。この国の核、ミサイルの脅威をなくすのは可能か。
4.中東動乱――内戦状態とされるイラクは、国家分裂の危機に直面している。動乱の気配は、レバノンやパレスチナにもある。イラク周辺諸国はどう動くか。ブッシュ政権はピンチを乗り切れるか。
5.日本と中国――恐るべきスピードで経済成長を続ける中国。アメリカと中国の間で優秀な学生の相互乗り入れも進んでいる。なぜ日本と中国はいがみ合うのか。日本は米中についていけるか。
6.靖国問題――なぜ小林よしのりが支持されるのか。安倍政権下で国立追悼施設構想はどうなる。主要メディアによる靖国論争の背景は?
7.石油のグレートゲーム――いつかは尽きるという石油資源をめぐり、中国とロシア、アメリカなどがしのぎを削る。紛争の火種にもなっている。日本のエネルギー安保は大丈夫か。
8.イラン核問題――昨年末、イスラエルがイランの核施設を攻撃するという情報が流れ、アメリカの空母も同じころペルシャ湾に入った。核問題はどんな展開を見せるか。
9.イスラエルという国――パレスチナを占領し、過剰な武器使用が非難を浴びるユダヤ人国家の論理。アメリカがイスラエルを「無条件に支持」するのは、なぜなのか。
10.「宗教国家」アメリカ――「サルが人間になった」という進化論教育をめぐりアメリカでは訴訟も起きている。宗教右派、ネオコンも含めて、強い宗教的ベクトルが働いているアメリカは「意外に分かりにくい国」だ。
11.憲法改正の展望――安倍政権は教育基本法の改訂、防衛庁の防衛省昇格を実現し、憲法改正へ意気込んでいる。参院選が大きな試金石になる。
12.国連安保理――昨年、常任理事国入りに失敗した日本は、虎視眈々と巻き返しをねらっている。しかし、United Nations は「国連」というより第二次世界大戦の「勝者連合」であり、日本は常任理事国にふさわしくないという反対論も根強い。この「壁」をどう乗り越えるか。
13.日本とイスラム――日本は宗教色の薄い国だが、それでは世界の動きを必ずしも理解できない。特にイスラム教徒は何年か後にはキリスト教徒に代わって世界最大勢力になると予測される。常任理事国入りをめざすにもイスラム理解が必要だ。
14.その他、日本の文化・社会の問題(教育、いじめ、犯罪など)も折に触れて取り上げる。

教科書・参考書等

特定のものはなく、必要に応じて資料を配布します。なるべく新聞を読んでください。

関連科目・履修の条件等

この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。

成績評価

期末のレポートで判断します。これとは別に、講義への意見、感想、要望や日ごろ自分が考えていることを記したメモ、またはレポートの提出を歓迎します。提出は自由ですが、熱心に書いてくれる人はプラスに評価します。

担当教員の一言

自分の頭で、楽しく、粘り強く考える習慣を。そのためには、新聞や本を読んで様々な意見を知ることが大事です。
 なお、人数制限をする場合があるので、一回目の授業に必ず出席すること。

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