複雑な生体の機能を調和のとれた状態に保つために全身にはりめぐらされている情報伝達系と処理系の概略について述べる。“Integration of parts into a functional whole”を実現するために,複雑にからみ合って働いているホルモン系や神経系の全体像をとらえる。特に感覚受容とその中枢(脳)における処理機構に重点を置いて解説する。情報伝達系を構成する成分の分子像にもせまる。免疫学の基礎を解説し,さらに最新のトピックスについても紹介する。
複雑な生体の機能を調和のとれた状態に保つために全身にはりめぐらされている情報伝達系と処理系の概略について述べる。特に感覚受容とその中枢(脳)における処理機構に重点を置いて解説する。免疫学および内分泌学の基礎に関して解説する。
1. 本講義の概要と感覚受容の分子メカニズム1
嗅覚:嗅覚器,嗅細胞と嗅毛,分子論,UDP-glucuronidation
2. 感覚受容の分子メカニズム2
視覚1:眼,網膜,視細胞,GABA 作動性ニューロン,視覚野の縞模様
3. 感覚受容のメカニズム3
視覚2:網膜における光情報処理,脳における光情報処理
4. 感覚受容の分子メカニズム4
聴覚,平衡感覚:有毛細胞の興奮メカニズム;痛覚
5. 神経情報伝達の分子論1
ニューロトランスミッターの種類,由来,興奮性,抑圧性
6. 神経情報伝達の分子論2
受容体の分類,構造,機能;イオンチャンネル;神経毒
7. 中間試験
8. 免疫学の基礎1
クローン選択説,免疫学的記憶,自己と非自己の識別
9. 免疫学の基礎2
イムノグロブリン分子の多様性発現の原理
10. 免疫学の応用
11. 内分泌学の基礎1
構成システム
12. 内分泌学の基礎2
受容体,Gタンパク質,アデニル酸シクラーゼ
13. 生体情報伝達における分子異常
自作の資料集を配布
生物化学と分子生物学の基礎を修得していることが望ましい。
広瀬:レポートと中間試験
斉藤:期末試験
広瀬:自分の行動が分子レベルで理解できるようになる。毎回簡単な宿題を出す。
斉藤:毎回積極的に授業に参加する人のみが履修する少人数のクラスにしたい。