離散選択モデルは今日の実証分析において欠くことのできない基本的なツールの一つといえる.
これは対象の行動方程式をランダム効用理論によって離散選択モデルとして記述できることによるところが大きい.
さらにコンピュータの性能向上と計算技術の発展により多様なモデルが実行可能になったことで適用できる状況も広がった.
その結果,産業組織論,労働経済学,国際貿易など多様な分野において,行動方程式に基づく構造推定を可能にしてきた.
この講義では,計量経済分析の重要なツールの一つである離散選択モデルを取り上げ,その理論と推定をする際の実装上の技術を取り上げる.
本講義では,離散選択モデルの分析手法について行動モデルの導出から,その推定方法までを講義により紹介する.また,課題として実際の推定手続きをプログラムすることでその理解を深める.
これらを通じて,離散選択問題を扱った文献を理解できる力と実証的分析を行う力を身につける.
講義では, 主にモデルとその応用例を紹介し,計算問題や演習用データを用いた宿題を通じて応用のための能力を身につける. 講義では以下の項目について取り上げる.
1. 離散選択モデル
2. ロジットモデル
3. GEVモデル
4. プロビットモデル
5. 混合ロジットモデル
6. 数値的最適化
ただし,講義の進捗に応じて内容を変更する場合がある.
必要な資料は,随時配布する.
参考書:
講義は,Train(2003) "Discrete Choice Methods with Simulation"に基づいて行うので随時参照できるようにすることが望ましい.
また,そのほかの参考文献は随時講義中に紹介する.
「統計学(社工)」,「計量経済学入門」及び「ミクロ経済学第一」の単位を取得していること,もしくはそれに相当する理解をしていることを必要とする.
また,課題に取り組むために基礎的なプログラミング能力を持つことを期待する.
宿題と期末試験の結果に基づき評価し,これに授業への貢献を一部考慮して加える.