公共システム分析   Theory of Public Institutions and Related Issues

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担当教員
坂野 達郎 
使用教室
月5-6(W936)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
7733
シラバス更新日
2012年4月6日
講義資料更新日
2012年4月6日
アクセス指標
学期
前期  /  推奨学期:5

講義概要

環境問題,都市問題,組織問題といった社会問題を解決するためには,個人の行為管理権に何らかの形で制限を加えることが必要です。これが,公共意思決定の本質です。本講義では,なぜ,どういう状況で個人行為管理権の制限を行うことが必要かつ正当なのかという問題(正当性問題)を考えるための理論を現実問題に即しながら学びます。
第二に,個人意思に反した行為管理権の制限は有効性に欠けます。個々人の自発的意思に基づく自発的な契約と国家権力に基づく統制を両極にして,実はさまざまな中間的な制度の可能性が存在します。どのような制度がなぜ有効に行為管理権を制限することに成功するのかという問題(効率性問題)を考えるための理論を現実問題に即しながら学ぶのが第二の目的です。
効率性問題はまだ体系的に研究が整理されていないのが現状です。本講義では,個人合理的な行為モデルに動機,認知バイアス,あるいは信頼,規範といった社会心理学的な要因を取り入れた研究の紹介を行っていきます。

講義の目的

環境問題、都市問題、組織問題といった社会問題を解決するためには、個人の行為管理権に何らかの形で制限を加えることが必要です。これが、公共意思決定の本質です。本講義では、なぜ、どういう状況で個人行為管理権の制限を行うことが必要かつ正当なのかという問題(正当性問題)を考えるための理論を現実問題に即しながら学びます。
 第二に、個人意思に反した行為管理権の制限は有効性に欠けます。個々人の自発的意思に基づく自発的な契約と国家権力に基づく統制を両極にして、実はさまざまな中間的な制度の可能性が存在します。どのような制度がなぜ有効に行為管理権を制限することに成功するのかという問題(効率性問題)を考えるための理論を現実問題に即しながら学ぶのが第二の目的です。
 効率性問題はまだ体系的に研究が整理されていないのが現状です。本講義では、個人合理的な行為モデルに動機、認知バイアス、あるいは信頼、規範といった社会心理学的な要因を取り入れた研究の紹介を行っていきます。

講義計画

1 4/9 イントロダクション

2 4/16 公共システムと集合行為ジレンマ
①古典的自由主義の計画観、国家観(パレート最適性と厚生定理)
②市場の失敗と公的セクターの役割(公共財、外部性、集合行為ジレンマ、分配公正)
③夜警国家、福祉国家、新自由主義、第3の道
(参考文献“Argument for and against planning” R.E.Klosterman)

3 4/23 CPR(common pool resource)管理のモデル
①コモンズの悲劇(G.Hardin)
②囚人のジレンマ(Tucker)
③集合行為の論理(M.Olsom)
④ホッブス的国家モデルによる集合行為問題の解決と国家の失敗
⑤財産権モデルによる集合行為問題の解決と市場の失敗
⑥自己組織的制度による集合行為問題の解決
(参考文献“Governing the Commons”, E.E.Ostrom ch.1)

4 5/7 自己組織的集合行為の理論と実証分析の枠組み
①単一主体による統合
企業組織の理論:内生的統合のメカニズム
国家の理論:外制定統合のメカニズム
②制度供給問題、credible commitment, 相互監視問題
③共有資源の利用(appropriation)と維持管理(provision)
④ルールの階層と制度変化
 (参考文献“Governing the Commons”, E.E.Ostrom ch.2)

5 5/14 非制度的協力行動の可能性(アナーキズムの理論化)
①繰り返しゲームの均衡解 繰り返し性、割引率
②有限繰り返しゲームの均衡解
③無限繰り返しゲームの均衡解:無条件戦略の意味
④無限繰り返しゲームの均衡解:応答戦略の意味、TFT戦略とトリガー戦略
(参考文献「協力の可能性」3章 M.Taylor)

6 5/21 非制度的協力行動の可能性と規模
①M.Olsonモデルにおける規模の意味
②繰り返しn人囚人のジレンマゲームの均衡解
(参考文献 「協力の可能性」4章 M.Taylor)

7 5/28 規範の進化的形成メカニズム
① 生物進化と行動規範の進化プロセス
② Axcelrodのコンピュータトーナメント
(参考文献 アクセルロッド著 『つきあい方の科学』第2章)

8 6/11 外郭的秩序と市民的公共性:景観利益を集合行為問題から考える
① 景観権と眺望権
② 民法の論理構成:人格権、財産権、権利侵害、損害賠償
③ 公法の論理構成:反射的利益、公権力による秩序維持
④ 国立景観訴訟:宮岡判決と相互拘束論
(参考文献 「景観利益の法的保護」 吉田克己)

9 6/18 社会的ジレンマ状況における協力行動:社会心理的要因
① RapoportのK-index
② コミュニケーションの影響
③ Kelly&Stahelskiの属性理論
④ Kelly&Thibaultの相互依存理論
⑤ Pruitt&KimelのG/E仮説
(参考文献 "Social Dilemmas"2章 S.S.Komorita & C.D. Parks)

10 6/25 社会的ジレンマ状況における 協力行動と規模:社会心理的要因
① KomoritaのK’-index
② Shellingの臨界点モデル
③ 期待予期、匿名性、グループアイデンティティ
④ 山岸の構造的G/E仮説
(参考文献 "Social Dilemmas"2章 S.S.Komorita & C.D. Parks)

11 7/2 公共財供給の社会心理学的行動
①Van de Kragt, Orbell & DawsのMCS(minimum contributing set)理論
  効力感仮説、客観的効力、crticalness
②ボランティアの悲劇と傍観者の悲劇
③Rapoport&Bornsteinの期待形成のメカニズム
④規模の影響
⑤社会的規範の影響
⑥決定手続きの影響
(参考文献 "Social Dilemmas"4章 S.S.Komorita & C.D. Parks)

12 7/9 社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)と集合行為問題
① 物的資本、人的資本、社会関係資本
② 2時ジレンマ問題と制度信頼の限界
③ 一般信頼、一般互恵性
④ パターナリズム 対 市民共同体性:中間組織の再評価
(参考文献 哲学する民主主義」R.D.Putnam 6章

13 7/16 一般信頼と制度効率
① コミュニティ、国家、市場の関係
② 戦略的信頼と道徳的信頼
③ 制度起源説 対 コミュニティ起源説
(“知識社会における信頼”E.M.Uslaner)

14 7/23 インセンティブと制度設計
① 官僚制の弊害とニューパブリックマネジメント
② 信頼とプロフェッショナリスム
③ 目標による統制
④ 告発
⑤ 選択と競争
(参考文献 “The Other Invisible Hand”,J.Le Grand,2007)

進捗状況に応じて下記をおこなう
 国家=市場型2セクターモデルから、ソーシャル・エンタープライズへ
① 中位投票の理論と国家の失敗
② 情報非対称性、契約の失敗、プリンシパル=エージェント問題
③ 余剰配分制約と消費者コンロロールの理論

教科書・参考書等

テキストを毎回配布します。

関連科目・履修の条件等

特にありませんが、非協力、協力ゲーム理論、社会学概論は学んでいたほうが望ましい。

成績評価

期末レポートを書いてもらいます。 総合成績=0.5X各回課題+0.5X期末レポート

連絡先(メール、電話番号)

tsakano@soc.titech.ac.jp

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