人間と環境との間に存立する景観という現象が,個人に属する主観的性質をもつとされるのはどのような意味においてなのか。また,複数の個人で,あるいは世代を超えて景観にかかわる価値観を共有する契機はどこにあるのか。景観の価値観の共有とはどのような可能性と問題を孕むのか。心理学の概念である「閾値」,社会学の概念である「集合表象」などをもとにした景観関連の研究成果を経由し,実例を交えながらこの問題に接近するとともに,芸術行為と個人の役割,近年盛んな環境論という観点からこの問題を照射する。
人間と環境との間に存立する景観という現象が、個人に属する主観的性質をもつとされるのはどのような意味においてなのか。また、複数の個人で、あるいは世代を超えて景観にかかわる価値観を共有する契機はどこにあるのか。景観の価値観の共有とはどのような可能性と問題を孕むのか。心理学の概念である「閾値」、社会学の概念である「集合表象」などをもとにした景観関連の研究成果を経由し、実例を交えながらこの問題に接近するとともに、芸術行為と個人の役割、近年盛んな環境論という観点からこの問題を照射する。
1. ガイダンス(好きな景観、嫌いな景観)
2. 環境・景観・風景
3. 人間の視知覚能力と景観の意味づけ
a. 視力/視野/視線
b. 古典的な建築物の配置を閾値から読む
c. 山岳眺望点の位置を閾値から読む
d. 庭園要素の配置を閾値から読む
e. 閾値による規定と閾値からの逸脱
4. 文化としての風景(景観が価値づけられるということ)
a. 日本人の風景観賞
b. 集合表象(見かたを規定する社会的システム)
c. 風景名所/風景のことば
d. 風景が共有され継承され形骸化すること
e. 風景による環境改造の意義と問題
5. 景観をめぐる展望
a. 景観の経験における自己超越性(風景の洗練と革新)
b. 芸術行為と個人的経験
c. 環境論から景観論を見つめ直す
景観の構造(技報堂)、風景学入門(中央公論社)、景観用語事典(彰国社)
時空間デザインプログラムでは選択必修科目の一つであることに留意
レポート提出を課す。A.B.C.D.E評価でC以上が合格。