日本建築史   History of Japanese Architecture

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担当教員
藤岡 洋保 
使用教室
月3-4(M321)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
7607
シラバス更新日
2011年10月3日
講義資料更新日
2011年9月20日
学期
後期  /  推奨学期:6

講義概要

日本建築の歴史について講じる。あわせて,歴史的建造物の保存について論じる。講義期間中に課される2回のレポートをもとに評価する。

講義の目的

江戸時代末までの日本建築について、デザインとプランニングや構造・材料・社会的要請との関係に留意しながら学ぶことを通して、その現代的意味を考える。

講義計画

   1.先史時代/竪穴住居と高床建築
1.1先史時代の建物 1.2自然崇拝 1.3古墳
2.古代の神社建築
2.1神明造り 2.2大社造り 2.3住吉造り
3.仏教建築の導入(飛鳥・奈良時代の仏教建築)
3.1仏教および大陸様式の導入 3.2法隆寺 3.3奈良時代の仏教建築
4.仏教建築の日本化
4.1板敷床・檜皮葺の導入、礼堂の付加 4.2密教の建築 4.3浄土信仰と阿弥陀堂 4.4構造技術の発展と、意匠・構造の関係の変化
5.古代都市と住宅建築
5.1難波京、藤原京、平城京 5.2平安京 5.3寝殿造り
6.神社建築への仏教建築の影響
6.1流造り 6.2春日造り 6.3仏教建築の影響
7.中世の仏教建築
7.1大仏様 7.2禅宗様 7.3和様・新和様
8.中世の住宅
8.1寝殿造りの影響 8.2ハレ(晴れ)とケ(褻) 8.3楼閣建築と禅宗庭園
9.城郭建築
9.1形式の変化 9.2天守と御殿
10.書院造りと数寄屋
10.1書院造り 10.2茶室(数寄屋) 10.3数寄屋風書院
11.霊廟建築と大工技術
11.1霊廟建築 11.2近世の神社建築 11.3木割、装飾技法の発達
12.民家と町並み
12.1近世の町並み 12.2京の町屋 12.3江戸の町屋 12.4民家

教科書・参考書等

<授業に持参すべきもの>
『日本建築史図集新訂第3版』(日本建築学会編、彰国社、2011)

<参考書>
・太田博太郎『日本建築史序説・増補新版』(彰国社、1969)
・平井聖『日本住宅の歴史』(日本放送協会、1974)
・神代雄一郎『日本の美術no.244 日本建築の空間』(至文堂、1986)
・濱島正士『寺社建築の観賞基礎知識』(至文堂、1992)
・平井聖・鈴木解雄『日本建築の観賞基礎知識 ―書院造から現代住宅まで―』(至文堂、1990)
・林野全孝・櫻井敏雄『神社の建築』(河原書店、1974)
・藤田勝也・古賀秀策編『日本建築史』(昭和堂、2001)
・後藤治『日本建築史』(共立出版、2003)

関連科目・履修の条件等

特になし

成績評価

レポート2つをもとに評価。課題についての詳細は以下の通り。
「日本建築史」レポート課題

レポート提出(2回)

テーマ1/「古代・中世の仏教建築の平面と外観」
仏教建築、特に金堂(のちの本堂)では、果たすべき機能に応じてその平面計画が変化したが、それに対応した外観を整えることは設計者にとって重要なテーマだったはずである。この平面と外観の関係について、構造などの技術的な側面を踏まえながら、各自が重要と考えることを述べる。
分量/400字5枚程度 〆切/2011年12月9日(金)5:00p.m.
提出先/藤岡研究室(緑が丘3号館2階205号室)

テーマ2/「日本建築に学ぶこと」
日本建築(ここでは江戸時代までの建築を意味する)は、いまや遠い存在になっている。日常の生活空間に、和室などの和の要素を目にする機会が減り、日本建築は京都や奈良に行って見るだけの非日常的なものになってしまった感がある。そのような状況を前に、今回の授業を通して各自が考えた日本建築の今日的意義について、具体的な事例をあげながら述べる。
分量/400字5枚程度 〆切/2012年2月3日(金) 5:00p.m.
提出先/藤岡研究室(緑が丘3号館2階205号室)

担当教員の一言

「日本建築」(日本の伝統的な建築)は、いまの日本人にとっては、西洋建築同様に遠い存在で、京都や奈良に行った時に見る程度のものになっています。この講義では、その基本について話しますが、「日本建築」をナショナリスティックに賛美することはしません。むしろ、それを国民国家が要請した近代特有の課題として相対化しつつ、それのどこに現代的意味を見ることができるかをテーマに語ります。レポートの「課題2」は、授業を受けたうえでの、それについての各自の見解を問うものです。

連絡先(メール、電話番号)

email:fujioka.h.aa@m.titech.ac.jp

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