公共経済学   Public Economics

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担当教員
福田 大輔  山内 弘隆  根本 敏則  味水 佑毅 
使用教室
金3-4(M111)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
7532
シラバス更新日
2015年4月6日
講義資料更新日
2015年7月22日
アクセス指標
学期
前期  /  推奨学期:5
補足資料

講義概要

道路,水道,電力施設などの社会基盤は,どのように建設され維持されているのだろうか.土木計画学は,「数理計画法」「確率・統計学」,「経済学」,「社会学」,「経営学」,「心理学」,「政治学」,「哲学」,「景観・デザイン学」などの学問を基礎として,社会基盤を,「いつ」,「どこに」,「どれくらい」,建設し,維持していくべきかということを探求する学問である.本講義はその中でも特に,「経済学」に関する内容について講述する.

社会基盤の多くは大規模な事業としてなされるものであり,その費用を個人の負担で賄うことは到底不可能であることから,国民の税金により,公共事業として建設・維持されている場合がほとんどである.そして公共事業の場合,個人の自宅を建てる場合とは状況が大きく異なり,社会全体への影響を考え,その地域の歴史や伝統および自然環境を考え,さらに,将来の世代のことも考えて計画する必要がある.経済学の考え方は,そのような負担を国民に強いつつも建設・維持すべき事業はどんなものであるのか?という問いに対して,主に資源の有効活用(経済学では「効率性」と言う)の観点から社会科学的な示唆を与えるものである.

経済学の守備範囲は非常に広く「社会科学の女王」と呼ばれることも多いが,本講義では,特に,公共事業・公共投資すなわち「公共」が関わる経済学分野について,主に,理工・土木系の学生を念頭に置いて,その基礎から実際の政策分析までを広く講述する.また,講義でも触れるように,近代経済学の初期段階においては土木技術者がその発展に多大な貢献をしたこともよく知られている.本講義を通じて,経済学と土木工学の関連性,及び,土木事業とその関連政策を経済学的に分析・評価することの意義を理解してもらえれば幸いである.

講義の目的

1. 費用や価格等のミクロ経済理論,2. プロジェクトの経済評価手法,3. 公共事業のマクロ経済効果分析,4. 公共サービスの特徴とその財源・料金制度,5. ロジスティクスの進展やPFIへの取り組み等,社会資本整備を取り巻く経済学的な基本的考え方を習得する.

講義計画

1. 土木事業・公共事業・公共投資の評価における経済分析の役割
2. 消費者行動理論の基礎
3. 生産者行動理論の基礎
4. 市場の理論
5. 市場の失敗とその是正
6. 公共事業のミクロ経済学的評価:費用・便益分析
7. マクロ経済と公共投資
8. 中間試験
9. 交通サービスの特徴と規制の実際
10. 交通サービスの整備財源とその評価
11. 交通サービスにおける運賃政策の理論と評価
12. わが国における民間資金活用の経緯と展望
13. 原発事故と日本のエネルギー問題-電気事業を中心に
14. 道路課金の目的と課題
15. 都市の物流・物流施設を巡る政策課題

教科書・参考書等

基本的に講義時に配布するが,事前にWEBに掲載して各自で印刷・持参することを指示する場合もある.資料は全てOCW-iに掲載予定.
参考書は以下のとおり.
・竹内健蔵(2008)交通経済学入門,有斐閣ブックス.
・山内弘隆・竹内健蔵 (2002) 交通経済学,有斐閣アルマ.
・八田達夫(2009) ミクロ経済学I・II,東洋経済新報社.
・藤井聡(2010) 公共事業が日本を救う,文春新書.
・西村和雄(2006)ミクロ経済学,東洋経済新報社.
・クルーグマン・ウェルス(2009)クルーグマンマクロ経済学,東洋経済新報社.

関連科目・履修の条件等

「土木計画の理論と数理」を履修済みであることが望ましい.また,「交通システム工学」も並行して履修することが望ましい.

成績評価

中間試験(40%),期末試験(40%),レポート課題・小テスト(20%)

担当教員の一言

経済学と土木工学の関連性,及び,土木事業に関連する諸政策を経済学的に分析・評価することの有用性を理解してもらいたい.質問は随時メール(fukuda [at] plan.cv.titech.ac.jp)で受け付ける.

連絡先(メール、電話番号)

福田 大輔 准教授 (緑が丘5号館2階203号室)

オフィスアワー

特に設けていない.質問等で訪問したい人は,事前にメールでアポイントを行うこと(fukuda [at] plan.cv.titech.ac.jp).

その他

経済学と土木工学の関連性,及び,土木事業とその関連政策を経済学的に分析・評価することの意義を理解してもらいたい.

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