波動工学   

文字サイズ 

担当教員
安藤 真  平野 拓一 
使用教室
火5-6  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
7139
シラバス更新日
2008年4月18日
講義資料更新日
2008年4月18日
学期
前期  /  推奨学期:-
補足資料

講義概要

2005年度まで「電磁波」として開講していた講義です。
カリキュラムが変わったため、講義名が「波動工学」となりました。
電磁波の内容が主になります。

近年、携帯電話、無線LANに代表されるように無線通信技術が目覚しい発展を遂げています。この講義ではそれらの工学的応用の基礎をなす電磁波について学びます。電磁波の利用は急激に進化していますが、理論的基礎はマクスウェルが今から100年程前に発見した方程式から全く変わっていません。電磁波の現象は複雑ですが、この方程式で全て説明できます。この講義の一つのメッセージは、難解な数学の中に現象があるのではなく、現象を正しく簡単に理解するために最低限の方程式を用いることです。直接眼では見ることのできない電磁波の振る舞いを深く理解するため、講義ではマクスウェルの方程式を正確に解くばかりではなく、計算機シミュレーショ ンで視覚化したアニメーションを多用し、わかりやすいように光や音の身近な例を挙げて説明します。きっと、マクスウェルの方程式と電磁波が造る物理の美しさに驚かれるでしょうが、テキストにはこのような学問の発展の歴史や他分野との関係もわかるようにコラムを設けています。通常は省略される式変形を丁寧に示し、興味を感じたら納得行くまで自学できるよう配慮しました。一見わかりにくい自然現象の裏にある理論の美しさを肌で感じてください。

【波動工学ホームページ】
http://www-antenna.ee.titech.ac.jp/lecture/contents/hadou/

講義の目的

電気磁気学を履修した学生を対象として、波動特に電磁波の基礎と、工学的応用へ向けた波動伝送原理について解説する。講義では、まずマクスウェルの方程式の物理的意味の理解を深める。具体的でもっとも基本的な解として平面波の性質を調べ、反射、透過、屈折現象、定在波などを考察する。さらに、TEM線路における波動伝送を考察しインピーダンスの概念を学ぶ。微小波源からの放射界を導出し、電磁気学と電磁波との関係を考察する。毎回演習問題を宿題とする。

講義計画

1. 電磁気学の復習とマクスウェルの方程式
 変位電流, ファラデの法則, マクスウェルの方程式
2. ベクトル演算子
 回転, 発散, マクスウェルの方程式の微分形
3. 平面波
 波動方程式の解, {E, H, β, λ, k}の関係, 定在波, 偏波
4. 境界条件
 接線成分の連続, 垂直成分の連続, 完全導体
5. 平面波の反射, 屈折
 直交/平行偏波, 全反射, ブリュースター角, 損失性媒質, 表皮の厚さ
6. TEM線路
 電信方程式の導出, TEM波の性質, 進行波と特性インピーダンス, 反射と定在波, 負荷が接続された線路
7. 電磁波の放射
 スカラー波動方程式, ベクトルポテンシャル
 ローレンツ条件, 放射条件, 微小ダイポール, 遠方放射界
8. 電磁波における諸定理
 Poyntingベクトル, Uniqueness定理
  注)番号は項目を表し、回数には対応していない。

教科書・参考書等

講義中にテキスト、資料も配布する。
F.R.コナー (安藤 真訳);アンテナ入門、電子通信シリーズ 4,森北出版 (1989)
後藤 尚久;なっとくする電磁気学、講談社 (1993)
Ehrlich, Roelofs, Stoner, Tuszynski著(尾中龍猛監修);電磁気学シミュレーション、海文堂 (1996)

関連科目・履修の条件等

電磁気学I,IIを履修済みであること。

成績評価

中間試験と期末試験の結果に、宿題(約10回)の提出状況を加味して成績を決める。

担当教員の一言

直接見ることのできない電磁波の振る舞いを、深く理解するため、光や音の身近な例を挙げて説明する。自然現象の裏にある理論の美しさを肌で感じて欲しい。

その他

【オフィスアワー】
 随時受け付ける。事前に電話あるいはE-mail(mando@antenna.ee.titech.ac.jp, hira@antenna.ee.titech.ac.jp)にて、所在を確認すること。

【波動工学ホームページ】
http://www-antenna.ee.titech.ac.jp/lecture/contents/hadou/

このページのトップへ