I 数理論理による方法とその数字的諸性質を学ぶことにより,計算機ハードウェア,ソフトウェアの形式的意味論に基づく検証や合成,新しい計算パラダイム,あるいは知識情報処理への形式的接近の基礎を習得する。
II 命題論理,述語論理,意味,証明,健全性,完全性
言語により表現される文や,プログラムによる計算には,その意味が付随する.意味を計算機を用いて処理しようとするとき,推論することそのものを数学的な対象として考察することが必要となる.そのための基本的な手法を理解する.そのような形式化の代表として,数理論理による方法と,その限界を含む数学的諸性質を学ぶことにより,計算機ハードウェア,ソフトウェアの形式的意味論に基づく検証や合成,新しい計算パラダイム,あるいは知識情報処理への形式的接近の基礎とする.
1. Introduction:計算機科学と論理学,講義の位置付け内容(命題論理)
2. 命題,結合子,式の帰納的定義,構造帰納法,真偽値,命題式の意味
3. トートロジ,論理的帰結,代入定理,ブール代数,標準形,双対性
4. 自然演繹による証明:仮定,証明,矛盾,背理法,定理
5. 決定可能性,健全性
6. 完全性
7. コンパクト性定理
8. 述語,量化,項,式,構造,モデル,述語論理式の意味
9. 標準形,自然演繹
10.エルブランの定理,スコーレム化
11.完全性
12.基礎分解法,統一化
13.分解証明法
教科書 ・Logic and Structure, D. van Dalen 著,Springer-Verlag, 1983
参考書 ・ソフトウェア科学のための論理学,萩谷 昌己 著,岩波書店,1995
・情報科学における論理,小野 寛日析 著,日本評論社,1994
・Logic for Computer Science, Jean H. Gallier 著,Happer & Row, Pub., 1986
・記号論理入門,前原 昭二 著,日本評論社,1988
・数理論理学,林 晋 著,コロナ社,1989
← 情報基礎学,計算基礎論
→ プログラミング第二,人口知能基礎,プログラム理論(大学院)
演習・小レポート(30%),中間試験(35%),期末試験(35%)により評価する.
メタ学問の面白さにふれて頂ければ幸いです.計算と推論の対応が理解できるようになると,そこに展開されるコンピュータ科学・工学の,本質的で多様な世界をのぞき見ることが可能となって来るでしょう.