プロジェクトとは定常業務と対比させた業務のことであり,有期性と独自性を持つ.情報化が進み,グローバル化した国際社会では,多くの業務が前例のないプロジェクトとして行われている.今後多くの学生が,あらゆる業種において,どのような業務に携わっても,何らかの形でプロジェクトに関わりを持つことが増えるであろう.しかも,国内だけでなく,国際的なプロジェクトに関わる機会が否応なしに与えられることだろう.こうしたとき,プロジェクトには「マネジメント」が必要になる.プロジェクトマネジメントの知識やスキルは,あらゆる分野におけるプロジェクトの「共通言語」となっている.様々な分野の工学に携わるエンジニアにこそ,プロジェクトマネジメントの知識やスキルが求められている.技術開発プロジェクトの成否が,新たに開発された技術のクオリティ以上に,プロジェクトマネジメントの質に関わってくることが多いからである.エンジニアの活躍の舞台は国内から国際へ移った.プロジェクトの主流は国際プロジェクトである.国際プロジェクトに関わるステークホルダーは国籍をまたがって多岐にわたり,国内プロジェクトでは想像もつかないリスクも起こりうる.本講義では,今後学生がプロジェクトに携わる際,自然とプロジェクトマネジメントに基づいた発想や計画が実践できるように,プロジェクトマネジメントのエッセンスをまとめたものである.
本講義では,プロジェクトの現場で活用されているプロジェクトマネジメント手法の基礎を,事例を踏まえながら学ぶ.また,グループワークとグループプレゼンテーションを通じて,グループとしてプロジェクトを遂行することの意義や重要性を学ぶ.
1.プロジェクトとプロジェクトマネジメント
2.PMBOKの概要
3.国際開発プロジェクトの実例紹介
4.プレゼンテーションの方法
5.グループプレゼンテーション(英語発表)
6.プロジェクトマネジメント手法:全体の解説
7.プロジェクトマネジメント手法:KJ法
8.プロジェクトマネジメント手法:PCM手法
9.グループプレゼンテーション2回目(日本語発表)
教科書 花岡伸也編著:プロジェクトマネジメント入門,朝倉書店.
特になし.
出席10%,演習15%,非常勤講師レポート20%,グループプレゼンテーション+レポート55%
プロジェクトマネジメントの大切さは,実際にプロジェクトを経験してみないとわからないとも言われているものの,どんな人でも身の回りの小さなプロジェクトを意識せずとも経験していることが多い.こうした経験を踏まえつつ,社会人になる前にプロジェクトマネジメントの手法を学ぶ意義は高い.プロジェクトに接する心構えが間違いなく変わるだろう.