線形定係数系の安定理論,構造理論(可制御性,可観測性,正準系)について述べた後,極指定によるレギュレータの設計,オブザーバの設計,サーボ系と内部モデル原理について論じ,さらに,最適制御問題について扱う。
現代制御理論とは線形状態方程式で表された制御対象(線形システム)に対する制御理論であり,線形代数を数学的な基礎としている.本講義の前半では現代制御理論を応用する立場から制御系の設計方法について講義する.後半では前半で説明した設計法の数学的な証明を中心として現代制御理論の詳細を講義する.
第1部 応用のための現代制御論の要点
1) 状態方程式と座標変換,安定性
2) 正準形への変換と可制御性・可観測性
3) 状態フィードバックによる極配置
4) LQ最適制御の概要,サーボ系
5) オブザーバとカルマンフィルタ
6) 双対性,状態フィードバック+オブザーバの併合系の安定性
第2部 理論としての現代制御論の詳解
7) 可制御正準形・可観測正準形への変換の証明
8) リアプノフ関数とLQ最適制御の安定性
9) LQ最適制御の最適性の証明,LQ制御のゲイン余裕と位相余裕(ロバスト性)
10) LQ最適制御の漸近的性質
11) Riccati方程式の解法(有本-Potterの方法)
12) 外乱オブザーバと最小次元オブザーバ
13) 可制御性・可安定性,可観測・可検出,極零相殺
14) 可制御グラミアン,可観測グラミアン
15) 平衡実現
教科書:
プリントを配布する.
参考書等
参考書:
古田,佐野:基礎システム理論,コロナ社
小郷,美多:システム制御理論入門、実教出版
「動的システム基礎」,「フィードバック制御」,「計測制御数学第2(行列論)」を履修していることが望ましい.フィードバック制御の基礎的概念(極など)と行列論(固有値など)の知識を前提として講義を進める.
期末試験
現代制御理論は非常に有用な制御系の設計方法であるとともに,アドバンストな制御理論の数学的な基礎となる重要な理論です.