各種物理量の計測,特に幾何量を中心とした精密計測のための基礎,計測の原理と手法および得られた計測データの処理方法について講述する。さらに,計測データの統計処理,特に工学分野で重要な検定と推定,相関・回帰分析などを中心に述べる。将来,実際に直面する工学問題を解決するにあたって必要とされる計測と統計の基礎知識を身につけ,活用できるようになることを目的とする。
各種物理量の計測の原理と手法および得られた計測データの処理方法について修得させる.さらに,計測データを役立てるため,統計処理のなかでも工学分野で重要と思われる検定と推定,相関分析,回帰分析などの処理について修得させる.将来,実際に直面する工学問題を解決するにあたって必要とされるであろう計測と統計の知識を得て,活用できるようになることを履修目標とする.
1. 計測の基礎
計測基礎論,単位と標準,不確かさと精度,次元解析
2. 計測信号の処理
信号変換と伝送,信号処理
3. 確率と統計
確率密度,期待値,分散,共分散,相関係数,正規母集団の検定と推定, 相関分析, 回帰分析
【実験】寸法計測と測定値の統計処理
4. 各種センシング技術
力・温度・距離・光センサ,光応用計測,画像計測
5. 基本的な物理量の計測
質量,密度等の計測
6. 寸法・形状計測と評価
寸法計測,アッベの原理,形状計測,平面度,真円度,位置度, MMP
【実験】形状計測と計測データの処理
7. 高精度計測
偏位法,零位法,置換法,補償法,合致法,差動法,反転法
8. 計測システム・プロセス計測
教科書:「基礎統計学」押川元重・坂口紘治,培風館
参考書等
参考書:「機械工学便覧β5計測工学」
特になし.
期末試験,講義期間中のレポート,実験のレポートを成績評価の対象とする.講義計画に挙げた事項の基礎的な知識を習得し,実際の計測,統計処理に利用できることが合格のための条件となる.
ものを製作するには,そのものに要求される公差以上の精度で""もの""を計測する技術が必要となる.このことは昔から「計測できないものは作れない」という言葉で表されている.この講義を通じて,計測の重要性と計測の方法論,そして得られた計測データの統計的な利用方法について知識と応用力を身につけて欲しい.