I 工学・工業上重要となる熱輸送現象について,そのメカニズムを理解し,さらに応用上の取り扱い方の基礎を修得することを目的とする。
II 熱輸送現象の基礎方程式,対流による熱輸送,相変化(沸騰・凝縮)を伴う熱輸送,熱交換器の基礎。
機械工学の基幹を成す「熱」に係る新規技術の創出・課題解決には、熱力学に加え、熱の輸送過程を扱う学問体系をも別途必要とする。この熱輸送(伝熱)現象について、熱科学第二では主として流体の挙動を考慮する必要の無い素過程を扱ったが、本講義では流体の挙動が重要となる熱輸送現象を中心に、特に実用上重要である対流伝熱と相変化を伴う伝熱(沸騰・凝縮)を取り上げ、その本質的メカニズムを理解するとともに、各種機器設計の基礎となる考え方や手法を学び、工学・工業上の応用のための基礎を身につけることを目的とする。
1. 序論
2. 対流伝熱の概要と基礎方程式
3. 管内、物体まわりの層流強制対流伝熱
4. 乱流伝熱
5. 自然対流伝熱
6. 中間課題
7. 相変化の基礎、沸騰伝熱、核沸騰
8. 限界熱流束、膜沸騰、流動沸騰
9. 凝縮を伴う伝熱
10. 物質伝達の基礎、物質拡散、物質伝達の支配方程式
11. 物質拡散の例、対流物質伝達
12. 熱交換器の基礎・設計法、機器の冷却
13. 断熱技術、各種伝熱機器、温度と熱の計測
14. 総合課題
JSMEテキストシリーズ 伝熱工学、©日本機械学会(2005)、丸善
熱科学第一と熱科学第二を履修しておくこと。また、流体科学第一・第二を履修しておくことが望ましい。
ほぼ毎回の講義で提示する課題の成果を総合して評価する。
熱輸送現象の取り扱いは、熱・エネルギーや環境の分野にとどまらず、様々な機器や製造・加工プロセスの開発、設計、管理を通じ、ICT、ライフサイエンスなど、凡そ考えられる全ての産業分野において必要となる。将来、熱流体、エネルギー、環境分野へ進もうとする学生以外も積極的に勉強しておくことを勧めたい。