Ⅰ 青年期にある自身を振り返り、どのような人間関係の中で育ち、支えられ、時に葛藤してきたかを臨床心理学の見地から検討しつつ、よりよい理工人としてのあり方と対人ネットワークづくりについて実習を通して考察していく。
Ⅱ 現代社会の大きな関心事である「こころの健康」について、精神医学の立場から、人間関係、すなわち他者や社会との関わりという観点を中心に考える。
現代における人間関係の諸相や社会と人間において生じる様々な課題に、臨床心理学および精神医学的観点からアプローチする。人間科学、精神科学に独自の方法論とその思想、理念を論じるとともに、対象となる人間の多様性を紹介する。各種資料を用いながら、人間の有り様および関係性について検討し、出席者とともに考察をすすめていくことで、科学的・客観的な思考に加えて、個別性や主観性をも尊重しうる態度を構築していくことをめざす。
1. 青年期の課題と学生生活サイクル (齋藤)
2. 自己像の確認と対人関係ネットワーク (齋藤)
3. 友人関係の広がりと深まり/同質性と異質性 (齋藤)
4. 異性との出会い/人間関係のプロセスとスキル (齋藤)
5. 神経科学からみたコミュニケーションー認知機能(安宅)
6. 自己selfの形成ー乳幼児の心の発達 (安宅)
7. ストレスと心身の健康(1) (安宅)
8. ストレスと心身の健康(2) (安宅)
9. 人間関係における葛藤場面と対処方法 (齋藤)
10. さわやかな自己表現をめざして/相互交流のコツ(齋藤)
11. 研究室における人間関係/ハラスメントを超えて(齋藤)
12. 職場での人間関係/面接場面のコミュニケーション(齋藤)
13. 他者、社会との関係の不調—神経症とうつ (安宅)
14. 心の病気における「私」—統合失調症の世界 (安宅)
15. 世界との関わり方をめぐってー創造性と病 (安宅)
ひとと会うことの専門性ーなぜ心理臨床をめざすのかー. 齋藤憲司、垣内出版
新版学生と健康ー若者のためのヘルスリテラシー. 国立大学法人保健管理施設協議会[監修]、南江堂
そのほか、講義内で随時紹介します。
特になし。広く人間と人間関係に関心を持っている学生であれば歓迎いたします。
学期末レポートを中心とした評価になりますが、各回の授業出席や適宜の小レポートも加味する方針です。
担当教員は、臨床心理学・教育心理学を専門とするカウンセラーと、精神医学・精神病理学を専門とする医師であり、交互に3〜4回セットの講義を行います。
本講義では、カウンセラーとして/精神科医として日々の相談や診察で感じている若者と社会に対する現状把握を出発点として、時に学生の皆さんの夢•希望や喜び、葛藤などの身近な話題も織り込みながら、心理学を援用した実習と受講者同士のグループワークを取り入れた実際的な学びの場にしていきたいと考えています。理工系にこそ重要な人間関係、皆さんの積極的な参加をお待ちしています。
【オフィスアワー】
いつでも声をかけて下さい(保健管理センターの受付(内)2057)。相談面接などでスケジュールが埋まっていることが多いので、お互いの予定を調整しつつになることをご了解ください。