産業・経済・社会に構造変革をもたらす技術革新の歴史と実相について説明し,あわせて環境・エネルギー・安全等の世界が直面している諸課題と技術革新との関連について解説しつつ,内外における技術革新を促進する政策の動向や技術戦略と技術経営のあり方,そして科学的方法論と専門家・専門家集団の役割等について具体的に解説する。
さらに化学産業と化学技術の特徴及び歴史を解説し,加えて内外の環境変化を踏えた将来展望について説明しつつ,化学物質が開発・生産され社会において流通・使用・廃棄されるにあたり求められる化学技術戦略のあり方や化学物質の総合管理の考え方,そして化学技術者のあり方等について具体例を挙げて解説する。
持続可能な社会への転換とともに国際競争力の維持向上が求められる21世紀においては、技術革新とともに制度改革や人材改新を連動させて円滑に社会変革を実現して行くことが大きな課題となっている。
企業におけるイノベーションの実相および製品のリスク管理の実相を具体的な事例を基に検証しつつ、技術革新と付加価値や資源・エネルギーとの関係、石油危機の克服と技術革新の役割、石油情勢の変化と生活社会の変遷などを検証し、今後の持続可能な発展に必要な技術革新と社会変革のために克服すべき諸々の課題について、国際的な動向と国際競争力の現状を踏まえつつ論じ、社会変革の道を探る。
4月16日(増田)
技術革新と付加価値創造の関わりを確認しつつ、環境制約や資源制約の克服と技術革新との関わりを論じる。
4月23日(増田)
貿易収支や国際収支の動向を検証しつつ、国際競争力と技術革新や事業創造とのかかわりを論ずる。
5月14日(大久保・増田)
企業現場における研究開発と新規事業創設の実相を紹介しつつ、事例研究として企業におけるイノベーションについて論じる。
5月21日(長田・増田)
製品のリスク管理に関する世界の動向と日本国内の事故事例を紹介しつつ、事例研究として企業に求められる事柄について論じる。
5月28日(増田)
競争力の強化に資するイノベーションを促進するための方策についてリスク管理の視点も踏まえながら総括する。
【講義計画:増田担当分詳細】
-技術革新と社会変革-
1.資源と付加価値と技術革新
2.付加価値の創出と生活・企業・産業・経済・社会の構造変化
3.環境制約と公害危機
4.資源制約と石油危機
5.貿易収支に見る構造変化と技術革新
6.経済大国を支えた技術革新の実相と研究開発の展開
7.国際競争力の変遷と技術革新にかかる基本認識の変化
8.米国の競争力の強化と諸外国における技術政策の変遷
9.知識体系の再構築による戦略的思考の展開と日本の弱点の顕在化
【講義計画:大久保担当分詳細】
-技術革新と社会変革-
1.イントロ 新製品はどこから生まれるか
研究所を飛び出して、顧客のニーズを探しに行こう
2.S-バイオ事業部の実例紹介
新規ポリマー開発から新製品上市、そして事業開発
3.情報資本主義におけるマテリアルの付加価値
2.5次産業というポジショニングの可能性
4.有機材料、高分子材料をコアとする新規事業の可能性
(全体ディスカッション)
【講義計画:長田担当分詳細】
-技術革新と社会変革-
1.事故情報収集制度における事故事例の分析と製造物責任法などの制度
2.製品のリスク管理に関する世界の動向
3.企業に求められる製品のリスクを低減する設計
【参考図書:増田分】
1.機能性化学産業の競争力とビジネスモデルの変革‐ポリシーイノベーションが導く素材産業から部材産業への展開‐、化学工学、75(8)、490-494、(2011)
2.「知の世界」が創る政策の新展開、全267頁、2004(化学工業日報社 ISBN4-87326-436-7-C0034)
3.機能性化学、全257頁、2002、(化学工業日報社 ISBN4-87326-394-8-C3040)
4.化学は地球を救えるか、 全254頁、1997(化学工業日報社 ISBN4-87326-246-1-C3034)
5.規範科学‐レギュラトリー・サイエンス‐、145-153頁、生命科学概論、2012(朝倉書店 ISBN978-4-254-17151-8)
6.化学物質を経営する、全527頁、2007(化学工業日報社 ISBN978-4-87326-500-1-C0034)
7.化学物質総合管理、71-84頁、地球環境の化学、2006(朝倉書店 ISBN4-354-25599-3)
8.OECDと日本のバイオテクノロジー政策-科学的方先導する安全論議-、全103頁、1997、(バイオインダストリ-協会)
【参考図書:長田分】
1.生活安全ジャーナル
製品評価技術基盤機構ホームページ
http://www.nite.go.jp/jiko/journal/old_index.html#no.1
2.松下電器産業株式会社製FF式石油温風暖房機事故の原因究明について
製品評価技術基盤機構ホームページ
http://www.nite.go.jp/jiko/press/prs060704.html
3.消費生活用製品の誤使用事故防止ハンドブック
製品評価技術基盤機構ホームページ
http://www.nite.go.jp/jiko/handbook/goshiyou_handbook.html#shohisha
4.製品事故から身を守るために<身・守りハンドブック>
製品評価技術基盤機構ホームページ
http://www.nite.go.jp/jiko/press/prs10033102.html
5.視力補正を目的としないカラーコンタクトレンズに関する調査結果について
製品評価技術基盤機構ホームページ
http://www.nite.go.jp/jiko/press/prs10033102.html
6.平成18年度製品安全基準の整備(製品安全規格体系の調査)報告書
製品評価技術基盤機構ホームページ
http://www.nite.go.jp/jiko/seika/2008/data/08_kaiso.pdf
【授業の進め方】
1.出席状況の確認
出席表にイニシャルを記入。
2.授業の理解度の確認
毎授業毎に授業に関する小レポートとコメントを提出(授業の最後10分間で記載)
1.成績評価は出席状況と最終レポートの評価を加味して行う。
出席点とレポート点の配分は授業における論議・質疑などに応じ設定。
2.最終レポートの課題、提出期限、提出場所などは講義中に指示する。
1.知識の獲得よりも視野の拡大、問題意識の醸成、課題設定力の向上、構想力の涵養、そして知的説得(Intellectual
Persuasion)の能力の強化などに資することを期待。
2.質問大歓迎。自由闊達な論議を期待。
【最終科目レポート提出要領】
1.課題
高度経済成長や石油危機・公害危機を振り返り技術革新と付加価値について思い致しつつ、世界と社会の変動を踏まえて、
今後取り組むべき課題と目標を示し、加えてこれを達成するための戦略(道筋)について、自論を述べよ。
2.様式
自由(他者を知的に説得するために適切な形式にして充分な分量)
3.期限
2013年5月28日(火曜日)
4.提出先
増田の最終の講義に持参し、講義終了時点で提出
【小レポート提出要領:長田担当分】
1.課題
製品事故事例から、企業が製品のリスクを低減するために行うべきことは何か、加えて、国の制度、安全規制、製造物責
任法などの課題について自論を述べよ。
2.様式
自由(他者を知的に説得するために適切な形式にして充分な分量)
3.期限
2013年5月21日(火曜日)
4.提出先
長田の講義終了時点で提出。
【小レポート提出要領:大久保担当分】
1.課題
卒業後、あなたは有機材料、高分子材料を強みとするメーカーに就職したとする。そして入社後10年後に、ある新規事業プロジェクトのリーダーとなり、黒字化を果たしているとする。
それはどのような事業であり(顧客は誰か、あなたは何を提供したのか) 、自分なりに何を工夫したのか。成功の要因を想像を働かせて述べよ。
2.様式
自由(独創性歓迎)
3.期限
2013年5月21日(火曜日)
4.提出先 大久保の講義終了時点で提出。