社会技術革新学概論   Social Technology Innovation

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担当教員
増田 優  宮地 繁樹 
使用教室
 
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
6221
シラバス更新日
2012年5月13日
講義資料更新日
2012年5月13日
学期
前期  /  推奨学期:7

講義概要

産業・経済・社会に構造変革をもたらす技術革新の歴史と実相について説明し,あわせて環境・エネルギー・安全等の世界が直面している諸課題と技術革新との関連について解説しつつ,内外における技術革新を促進する政策の動向や技術戦略と技術経営のあり方,そして科学的方法論と専門家・専門家集団の役割等について具体的に解説する。
さらに化学産業と化学技術の特徴及び歴史を解説し,加えて内外の環境変化を踏えた将来展望について説明しつつ,化学物質が開発・生産され社会において流通・使用・廃棄されるにあたり求められる化学技術戦略のあり方や化学物質の総合管理の考え方,そして化学技術者のあり方等について具体例を挙げて解説する。

講義の目的

1.持続可能な社会への転換とともに国際競争力の維持向上が求められる21世紀においては、技術革新とともに制度改革や人材改新を連動させて円滑に社会変革を実現して行くことが大きな課題となっている。
こうした背景のもとに、技術革新と付加価値や資源・エネルギーとの関わり、日本における技術革新と社会変革の実相、石油危機の実相と危機克服における技術革新の役割、その後の日本社会の変遷と国際石油情勢の変化、近年の石油価格の高騰とその背景およびそれがもたらす影響、持続可能な発展の将来展望などを検証しながら、今後日本に必要な技術革新と制度改革など克服すべき諸々の課題について、国際的な動向と国際競争力の現状を踏まえつつ論じ、社会変革の道を探る。

2.技術革新と制度改革が深くかかわる分野として化学物質のリスク管理の分野がある。化学物質が開発・生産され社会において広く流通・使用されて排出・廃棄される過程を広い視点でとらえながら化学物質のもたらすリスクを管理する化学物質総合管理の考え方や国際的な枠組みと動向について、生物や放射性化学物質のもたらすリスクの管理との関わりも含めて解説する。
 あわせて日本の法律体系と自主管理や経営との関わりについて解説しながら、具体的な事例を通して、持続可能な発展につながる技術革新と化学物質総合管理の係わりについて今後の課題を論じる。
 これらによって、大学生の文理融合的な素養を向上させ視野の拡大を図るとともに課題の設定と実現の能力の強化を目指す。

講義計画

Ⅰ.社会変革と技術革新(増田 優 担当)
 1.資源と付加価値と技術革新
 2.付加価値の創出と生活・企業・産業・経済・社会の構造変化
 3.環境制約と公害危機
 4.資源制約と石油危機
 5.貿易収支に見る構造変化と技術革新
 6.経済大国を支えた技術革新の実相と研究開発の展開
 7.国際競争力の変遷と技術革新にかかる基本認識の変化
 8.米国の競争力の強化と諸外国における技術政策の変遷
 9.知識体系の再構築による戦略的思考の展開と日本の弱点の顕在化
Ⅱ.化学物質のリスク管理(宮地繁樹 担当)
 10.化学物質のリスク管理の歴史的背景と必要性
 11.化学物質管理におけるリスク評価とリスク管理
 12.日本における化学物質管理の現状と課題
 13.世界における化学物質管理の動向と国際競争力への影響
 14.化学物質管理における国際協力
 15.化学物質管理の将来展望と技術革新への影響

教科書・参考書等

【教科書】 講義の際にオリジナル資料を配付する。
【参考図書】
 1.化学物質を経営する(化学工業日報社 ISBN978-4-87326-500-1-C0034)
 2.「知の世界」が創る政策の新展開(化学工業日報社 ISBN4-87326-436-7-C0034)
 3.化学物質総合管理、71-84頁、地球環境の化学(朝倉書店 ISBN4-354-25599-3)
 4.機能性化学(化学工業日報社 ISBN4-87326-394-8-C3040)
 5.化学は地球を救えるか(化学工業日報社 ISBN4-87326-246-1-C3034)
 6.OECDと日本のバイオテクノロジー政策-科学的方先導する安全論議-(バイオインダストリ-協会)

 知の市場 ホームページ http://www.chinoichiba.org/
 社会技術革新学会 ホームページ http://www.s-innovation.org/
 化学生物総合管理学会 ホームページ  http://www.cbims.net/
                学会誌 http://www.cbims.net/doc/page1.cgi

 7.アジェンダ21(海外環境協力センター1993年 ISBN:978-4-90024-610-2)
 8.40 Years of Chemical Safety at the OECD Quality and Efficiency (OECD 2011年)
 9.化学物質管理の国際的取り組み –歴史と展望-(STP 1996年 ISBN4-915834-33-6 C3043)

関連科目・履修の条件等

 

成績評価

1.成績評価は出席状況と最終レポートの評価を加味して行う。
  出席点とレポート点の配分は授業における論議・質疑などに応じ設定。
2.最終レポートの課題、提出期限、提出場所などは講義中に指示する。

担当教員の一言

1.知識の獲得よりも視野の拡大、問題意識の醸成、課題設定力の向上、構想力の涵養、そして知的説得(Intellectual Persuasion)の能力の強化などに資することを期待。
2.質問大歓迎。自由闊達な論議を期待。

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