I 化学反応の速度過程(動力学)について,化学反応速度の理論的な取り扱いを気体分子,溶液中の分子の反応を例に解説する。なお,固相反応の速度論に付いても簡単に触れるが,詳細は,「欠陥の動力学」において取扱う。
II 気体分子運動論の基礎,輸送・移動現象と拡散,反応速度の定義,気相・溶液反応の反応速度,反応機構の理論。
化学反応の速度過程(動力学)について,化学反応速度の理論的な取り扱いを気体分子,溶液中の分子の反応を例に解説する.なお,セラミックスの反応の大部分を占める固相反応の速度論に付いても簡単に触れるが,詳細は,「欠陥の動力学」において取り扱う.
1. 講義の概略,気体の分子運動:気体の分子運動論,衝突,実在気体,流出
2. 溶液の化学:ゼータ電位、粒子の大きさ
3. 液体中の運動:液体の構造,運動,電解質の伝導率
4. イオンの移動度:ドリフト速さ,イオン-イオン相互作用
5. 拡散(1):熱力学の見方,Fick第一法則,Nernst-Einstein,Stokes-Einstein式
6. 拡散(2):拡散方程式,Fick第二法則,error function,現象論
7. 完全気体の輸送:拡散、熱伝導、粘性
8. 実験的化学反応速度論(1):実験法,反応速度,積分型速度式
9. 実験的化学反応速度論(2):平衡に近い反応(緩和法),温度依存性
10. 速度式の解釈(1):素反応,逐次素反応(濃度の時間変化,律速段階)
11. 速度式の解釈(2):逐次素反応(定常状態法,酵素触媒反応),1分子反応
12. 複雑な反応の速度:固体の反応速度、連鎖反応(爆発,光化学反応等)
13. 反応の分子動力学(1):反応性の出合い,衝突理論,拡散律速の反応
14. 反応の分子動力学(2):活性複合体理論,反応座標と遷移状態
教科書:『アトキンス物理化学』(第6版)(下),P. W. Atkins著,千原秀昭他訳,東京化学同人(2002) (第24,25,26,27章)
化学I,熱力学を履修していることが望ましい.
期末試験点,出席点,クイズ・レポート点等で総合評価.
本講義の内容は欠陥の動力学の拡散,固相反応の導入にもなっている.ここで述べる反応及び反応機構は固相反応や焼結といった多くのセラミックスにそのまま適用されるものではないが,反応の本質を理解する上で非常に重要である.また最近では,気相反応を利用したセラミックスの製造法も多用されており,重要な考え方である.
オフィスアワー:特に設けないが,質問などは随時オフィスでも受け付ける.ただし,かならずe-mailまたは電話で事前にアポイントメントを取ること.