結晶材料の力学的性質を支配するものは,結晶中に存在する格子欠陥(とくに転位)である。本講義では,練習問題を解きながら,様々な格子欠陥や転位論の基礎知識を学ぶ。さらに,応力-ひずみ曲線や各種の材料強化法(固溶強化,析出強化,分散強化,結晶粒微細化強化,複合強化など)を,転位論を用いてやさしく,また,できるだけ系統的に理解する。
材料強度およびそれを支配する格子欠陥について学ぶ。とくに転位の諸性質とその振る舞いについての基礎知識を講述し、材料強化機構を理解させる。
1.格子欠陥の種類と点欠陥
2.結晶のすべり変形と転位 (1)
3.結晶のすべり変形と転位 (2)
4.弾性論入門
5.転位の作る弾性場と線張力
6.転位に働く力
7.結晶中の転位 (1)
8.結晶中の転位 (2)
9.転位の増殖と切り合い
10.純金属結晶の塑性変形
11.強化機構 (1)
12.強化機構 (2)
13.強度の温度・ひずみ速度依存性
教員が用意するプリントに従って講義を進める.
プリントは配布しないので,各自でOCWからダウンロードし,講義に持参すること.
1~2週間先の分まで用意しておくことが望ましい.
参考書としては下記を挙げる.
1. 加藤雅治: "入門転位論" 裳華房 (1999).
2. 加藤雅治,熊井真次,尾中 晋: "材料強度学", 朝倉書店 (1999) .
3. 加藤雅治,永田和宏 編: "解いてわかる材料工学II", 丸善 (1997).
「応力とひずみの基礎」および「金属の変形」を履修しておくことが望ましい。
出席,授業中の小テスト(演習問題)、および期末試験によって評価する.
小テストでは電卓を使用する場合があるので持参すること。