化学第二 II-1   

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担当教員
石川 謙 
使用教室
木3-4(S132)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
1644
シラバス更新日
2007年10月18日
講義資料更新日
2007年10月18日
学期
後期  /  推奨学期:-

講義概要

 この授業は、東工大2類(材料系)の1年次を対象とした理系基礎科目の化学第2である。東工大の材料系には、金属工学科、有機材料工学科、無機材料工学科の3学科があり、2類に所属した学生は2年次でいずれかの学科に進学する。各学科の研究内容等は学科のHP等を見ていただくとして、いずれの学科に進学しても必要かつ重要な知識である「量子化学」を扱う。量子化学というのは、量子力学という、前世紀の初めに生まれた学問体系を用いて物質の成り立ちを理解する学問である。もちろん、この授業だけで量子化学の全てを伝えることなど不可能で、この授業はあくまでも「量子化学入門」という位置づけになる。

 授業の内容は大きく3つに分かれる。まず最初は、なんで量子力学が必要かということと、量子力学の概念の理解だ。続いて、量子力学の基本的な方程式を具体的な例にあてはめて、どうなっているのかを調べる。そして、最後に水素原子に量子力学をあてはめて、原子の成り立ちを理解する。なお、2年次の物理化学において分子の成り立ちなどこの授業の続きを扱うことになる。また、学科により2年もしくは3年で、量子力学の知識を前提とした固体物理関連の授業が行われている。 

 というわけで、この授業は、「化学」という表題ではあるけれども高校のイメージで言うと「物理」に近いものになる。高校までの化学(特に合成など)が好きなひとには申しわけないが、化学を基礎から理解しようと思ったら避けて通れない道筋だと考えて欲しい。 
なお、2003年以前の授業ノートは
http://www.op.titech.ac.jp/lab/Take-Ishi/html/ki/
に掲載されているので合わせて参考にされたい。

講義の目的

授業の予定を示します。とはいえ、授業は生もので、質問が活発にくると、遅れ気味になります。変動が生じることは(良いか悪いかは別として)ご了承下さい。OCWシステムの都合上、各回の授業ノートを掲載していますが(掲載したふりをしないと登録できない)、これは昨年度のものです。授業内容は基本的にはそれほど変わりませんので、これらの授業ノートは予習用に活用してください。
なお、2003年以前の授業ノートについては
http://www.op.titech.ac.jp/lab/Take-Ishi/html/ki/
をご覧下さい。

その回の授業が終了してから1週間程度以内に改訂版のノートを掲載する予定でいます。

講義計画

1回目
第1回目の内容は、昨年と大きくことなりました。昨年の物質の成り立ちから入るパターンが、どうも評判が良くなかった気がするので、今年は比較的教科書にそった流れでやるつもりになっています。昨年の流れに興味のある人は昨年のノートをご覧下さい。
1回目は、比熱の低温異常の話から始まり、光電効果へとつながります。

2回目
前回に引き続き古典力学の困難です。光電効果から、電子の波動性へと話は展開します。そして、ニュートン力学との対比の上で、波動性のある物質を表現するのにはΨ(x)という波動関数が必要であることを示します。

3回目
波動関数の性質について、いくつか議論をします。特に波動関数の確率解釈より、波動関数自体は物理的な意味を考えにくい複素数の波でよいことを示します。

4回目
sinkxの運動量が定まらない話から、重ね合わせと期待値、そして不確定性原理へと話は進んでいきます。多分、最初の方の一つの山場となります。。 

5回目
自由空間と井戸型ポテンシャル中での粒子の話です。 

6回目
井戸型ポテンシャルの2次元への拡張です。縮退の話が出てきます。3次元の図示を予定しています。 

7回目
トンネル効果と調和振動子の予定です。 

8回目
回転運動に入ります。周期的境界条件を少し念入りにやってみようかと思っています(井戸型との比較をした方がよいかもしれない)。3次元に一部入ります。 

9回目
中間テスト(テスト範囲は回転運動の前まで)です。この日は放送はありません。 

10回目
3次元の回転です。ここで、一通り12章は終わりです。

11回目
スピンの話と水素原子です。 

12回目
多電子原子に入ります。パウリの排他律とスピン相関という難しい概念が出てきます。 

13回目
多電子原子の構造の話です。例年、時間に追われて、はしょりかけるのですが、ことしは、次の回も含めて丁寧にできたらと思っています。 

14回目
多電子原子のスペクトルの話と全体の総括です 

2月テスト期間中
期末テスト(テスト範囲は回転運動以降に重点がおかれるが、その前も含まれる

教科書・参考書等

教科書はアトキンス物理化学(第6版)上です。

成績評価

中間テストと期末テストにより行います。

その他

毎授業後にオフィスアワーを設定するとともに質疑応答用のMLを開設いたします。

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