統計学はデータから有用な情報を引き出し人間の意思決定に役立てる学問である.その理論体系は機械学習や信号処理といった種々の応用分野でも重要な役割を果たしている.
本講義では数理統計学の標準的な事項を解説する.具体的には線形回帰の解説から始まり,最尤推定,ベイズ推定といった推定法とその理論を解説し,その後検定論においては二標本検定や独立性検定,分散分析などを学ぶ.一貫して数理統計学の基本である統計的決定理論にもとづいて推定や検定の「良さ」を論じながら講義を進める.
本講義では数理統計学の標準的な基本事項を学び,統計的諸手法の原理を知り,それらを実際に扱えるようになることが目標である.
第1回 講義の概要と確率論の基本事項
第2回 単回帰分析
第3回 重回帰分析
第4回 重回帰分析の性質
第5回 不偏推定量とクラメルラオの不等式
第6回 十分統計量
第7回 最尤推定量
第8回 一致性と漸近正規性
第9回 ベイズ推定
第10回 ベイズ推定の許容性・ミニマクス最適性および種々の例
第11回 判別分析
第12回 検定論
第13回 ネイマンピアソンの補題
第14回 カイ二乗検定
第15回 分散分析
稲垣宣生『数理統計学』
前期講義「確率・統計第一」を履修している,およびそれ相当の確率論に関する知識を有していることが望ましい.
演習への出席とレポート,および期末試験