前半では,まず定義に重点をおいた線形代数の基本的な概念を簡潔に復習する.ベクトルの線形独立性・従属性,線形写像など重要項目については,定義を用いた応用問題を通して理解度を確認する.また,初歩的な線形方程式系の数値解法を通して,ソフトウェア実装における問題点などを解説し,今後,高度な数値解法を学習する際にスムーズな理解ができるようにする.後半では,より工学的な応用も意識し,ベクトルの部分空間などへの射影を通して最小2乗法の再解釈を行うなど,線形代数の概念を基礎にした発展内容の理解を深める.最後に2次形式や行列の固有値問題など,数学,計算数学などで必ず議論される知識を解説する.
数学および計算数学における基本的な概念である有限次元ベクトル空間に関する知識を演習問題などを通して確実に習熟すること.また,それらの概念を応用した線形方程式系や行列に関する数値解法の導入にあたり,基本的な問題点を把握し,より高度な解法が理解できるようになることである.
1.概要
2.n次元ベクトル空間 (1)ベクトル空間,線形独立・従属性,部分空間,線形写像
3.n次元ベクトル空間 (2)ベクトル・行列ノルム,内積
4.線形方程式系の表現
5.行列式,線形方程式系の数値解法
6.線形方程式系の数値解法,逆行列の計算
7.MATLABによる線形演算
8.理解度確認総合演習
9.n次元ベクトル空間の次元,基底,直交補空間
10.直交射影(部分空間,最小2乗法)
11.線形方程式系に関する補足,部分空間の演算(直和)
12.2次形式と固有値
13.2次形式の等高線,行列の対角化
14.固有値の数値計算
15.複素行列,行列の応用
16.期末試験
特に指定しない.
線形代数学第一・第二および線形代数学演習第一・第二を履修していることが望ましい.
中間試験と期末試験およびレポートによる.
この講義との重複申告は認めません.
OCWで公開されている補足資料の演習問題は自習用であり,講義の時間内でカバーできなかった演習による理解を助けるものである.よって,必ず解いてみること.