I 数学における証明はどんな構造を持っているか。人間の論理的な思考過程はどのような体系にまとめられるか。体系化された理論に内在する限界とは何か。これらの観点から,数理論理学の基礎を解説し,重要な結果の証明を行なう。
II 命題論理とその自然演繹体系,述語理論とその自然演繹体系,ゲーデルの完全性定理,ペアノの公理系,ゲーデルの不完全性定理。
人間の論理的, 数学的な思考はどのように行なわれ, それはどんな形の体系にまとめら
れるだろうか. また, そのような体系から論理や数学に関するどんな事実が明らかになるだろうか. これら
の問題を数学的に考察する分野を数理論理学という. 本講義ではその入門として, 自然演繹体系NKを紹介
し, この体系が, あらゆる対象に対して論理的に正しいすべての推論, そしてそれのみから成ること(ゲーデ
ルの完全性定理)を解説する. 数学の各分野にはそれぞれ固有の公理があり, それらの公理にNKの推論を
組み合わせて適用することによってその分野固有の定理が導かれる. ところがそのようにして得られる公理
的体系は, 不可避的にある限界を持っていること(ゲーデルの不完全性定理)が示されている. この定理の
意味とその証明のアイディアについても解説する.
・ 数学のコトバとしての論理式
・ 論理式の形と意味
・ 自然演繹体系, その健全性と完全性
・ 公理, 定理, 理論
・ 自然数に対する公理系, 不完全性定理
プリントを使用する.
レポートと試験による.