まず、安全教育を兼ねて放射線の基礎知識を学びます。そのあとで、高エネルギー量子ビームである放射線によって引き起こされる反応を、物理化学の立場から論じます。これを通し、反応を取り扱う処方箋を修得します。皆さんが習ったことのない非束縛解のふしぎな世界を案内します。5学期開講の物理化学第三を初級コースとすると、中級コースと位置づけられます。
反応を理解する処方箋を修得する。
1.放射線とは?
2.放射線作用の不思議さ
3.放射線と放射線源
4.吸収線量、G値、放射線作用における電子衝突の大切さ
5.衝突の量子力学
a.2粒子系の量子力学(束縛解と非束縛解)
b.確率の流れの密度
c.衝突断面積の理論(一般論)
d.電子衝突断面積の理論(ボルン・ベーテ近似)
6.凝縮相における反応
a.拡散と伝導
b.拡散律速反応の速度定数
必要に応じ、資料を配付します。
参考書等
参考書:日本放射線化学会編 「放射線化学」のすすめ (学会出版センター)
物理化学第三の修得を前提に講義を進めます。
期末試験とレポート(7課題)
物理化学第三とあわせ、皆さんに反応のエキスパートになっていただきます。損はさせません。