I 回折法による分子構造,結晶構造の決定法の原理を説明し,構造と物性・反応の関連について概説する。
II (1)X線・中性子線・電子線回折の原理,結晶の格子構造と対称,結晶構造解析法
(2)無機物,有機物の分子構造と分子間相互作用,固相反応と結晶構造。
結晶の三次元構造はどのようにして解析されるのかについて、その原理と方法を解説する。授業前半では、基礎を学習する。まず、結晶格子によるX線回析と電子密度・構造因子について理解し、次に結晶の対称性、特に並進を伴う対称操作を理解する。後半では、具体的に結晶構造解析の進め方を学習する。すなわち、空間群の決定、直接法・重原子法(パターソン関数法を含む)などによる初期モデルの決定、最小二乗法による構造精密化、結果の表現という流れを理解する。最後に解析の実例を通じて最新の解析法と結果の評価を学習する。
1.結晶化学とはなにか
2.X線による散乱
3.原子散乱因子と構造因子
4.逆格子の定義
5.回折の条件とフーリエ級数
6.結晶の対称要素
7.晶系と点群
8.結晶の空間群
9.空間群の判定
10.構造解析の方法
11.構造の記述と利用
12.最近のトピックス
・化学者のための基礎講座12、X線構造解析、大場茂、矢野重信編、朝倉書店
・化学新シリーズ、X 線結晶構造解析、大橋裕二著、裳華房
・Oxford Chemistry Primers(60), Crystal Structure Determination , W . Clegg, Oxford Science Publications
とくになし
構造解析のレポート提出と期末試験
有機や無機、基礎や応用の分野を問わず、結晶構造解析は最近の化学では不可欠の研究手段となっている。