I. 試料溶液中に含まれる化学物質について種々の分析機器を用いた定量を行うことで、専門的な分析法を学習する。無機化合物の触媒作用を理解する。
II. 無機化合物の合成・反応実験を通して、合成、精製の技術を習得するとともに、構造と反応の一般的性質の原理を理解する。
III. X線回折法による結晶構造決定の手法と、結晶内化学反応について学習する。
(1) 無機・分析分野
1. 電位差法による混合ハロゲン化物の定量
2. イオン対抽出による界面活性剤の定量
3. ボルタンメトリー
4. 誘電緩和
5. 示差走査熱分析
6. ゼオライトの固体酸触媒作用と分子ふるい機能:ゼオライトを触媒として酢酸エチルの加水分解反応を行い、塩基分子による被毒効果から分子ふるい機能について考察する。
7. スペクトル解析による水溶液中の化学種数の推定と定量分析
(2) 錯体化学分野
*3種類の遷移金属錯体の合成・単離法を学ぶ。それらの物性を測定解析することにより、その理論的背景を合わせて学ぶ。具体的には以下の内容を、基本的には2人一組で行う。
1. Λ,Δ-[Co(en)3]I3-H2Oの合成と光学分割および分光学的性質
2. 空気中で不安定なCr(CH3COO)2の合成と磁化率
3. 金属カルボニル錯体Mo(CO)4(bpy)の合成と赤外分光
(3) X線解析分野
1. 粉末X線回析:簡単な無機化合物について、粉末X線回析法による格子定数の決定や未知試料の定性分析をおこない、X線回析に関する理解を深める。
2. 単結晶によるX線回析:有機物単結晶のX線回析データの指数付け・強度積分を経て結晶構造解析により実際に分子構造・結晶構造を得ることができる。
3. コバロキシム錯体の合成とその固相光化学反応:金属-炭素結合をもつコバルト錯体を合成し、可視光照射による固相光異性化反応とその反応速度について考察する。
1. 化学科無機・分析化学部門編 「無機・分析化学実験」
2. Advanced Inorganic Chemistry F. A. Cottonら John Wiley & Sons, INC.
3. 配布プリント
「化学基礎実験第一」を履修しておくこと。化学総合演習第三と相補的内容であるので、併せて履修を勧める。また専門科目とも関連する内容の実験がある。
平常の実験態度とレポートを総合して評価する。
一部の実験ではテーマの選択が可能である。実験の結果を互いに発表することで総合的な分析力を高めよう。講義や演習で学習するだけでなく、実際に実験操作することで無機・分析化学を全体として理解できるものである。
【オフィスアワー】
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