生物物理学概論   Introduction to Biophysics

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担当教員
林 宣宏  樫森 与志喜 
使用教室
 
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
5221
シラバス更新日
2011年4月1日
講義資料更新日
2011年3月23日
学期
前期  /  推奨学期:7

講義概要

生物物理学は、生命現象を物理学の“目”で捉えようとする学問である。物理学の進展に伴い、生物物理学の手法や対象も、従来の生物学を超えたひろがりを見せている。本講義では、分子生物学と計算機物理学による生命現象へのアプローチについて、それぞれの専門家による集中講義形式の授業を行う。
Ⅰ. 複雑に見える生命現象も、分子レベルの微視的な素過程まで突き詰めると各々は単純な物理現象で成り立っている。しかし、それらが複合的かつ融合的に作動するとき、単なる素過程の集まりとは質的に異なる“物理現象”が生まれ、それこそが生命の本質である。本講義では、このような生体分子にもとづく生命の新たな描像を解説するとともに、物理学の手法でどのように生物の本質に迫るのかを概説する(林講師)。
Ⅱ. 生命という複雑な現象を探る方法として従来の実験的および理論的方法に加えて、最近、コンピュータ物理学をベースにして生命現象を研究する方法が有力になりつつある。本講義では、in silico的研究と呼ばれるこのような研究の内容および人工生命、複雑系の研究との関係を説明し、この方法と従来の方法との相補的な役割について知ってもらうことを目的とする(樫森講師)

講義の目的

生物物理学は、生命現象を物理学の“目”で捉えようとする学問である。物理学の進展に伴い、生物物理学の研究手法や研究対象も、従来の生物学の枠を越えたひろがりを見せている。本講義では、分子レベルでの実験・観察による生命現象へのアプロ-チと、計算機物理学を用いた生命現象や複雑系へのアプローチについて、それぞれの専門家による集中講義形式の授業を行う。
Ⅰ. あまりに複雑で神秘的にさえ見える生命現象も、分子レベルの微視的な素過程まで突き詰めると各々は単純な物理現象で成り立っている。しかし、それらが複合的かつ融合的に作動するとき、複雑さが単に増加するだけにとどまらず、質的に異なる“物理現象”が生まれ、それこそが生命の本質である。生物物理学は、長大な時間の流れの中で自然が造り上げたこの究極の物理現象を扱う。本講義では、生物物理学による生命の新たな描像を解説するとともに、物理学の手法でどのように生物の本質に迫るのかを概説する(林講師)
Ⅱ. 生命という複雑な現象を探る方法として従来の実験的および理論的方法に加えて、最近、コンピュータ物理学をベースにして生命現象を研究する方法が有力になりつつある。この方法は、in silico的研究と呼ばれている。本講義では、このin silico的研究の内容および人工生命、複雑系の研究との関係を説明し、この方法と従来の方法との相補的な役割について知ってもらうことを目的とする(樫森講師)

講義計画

(林)
1.Introduction:生体分子総覧
2.タンパク質分子の機能構造の成り立ち
3.核酸分子の機能構造の成り立ち
4.生体分子を観るための段階的アプローチ;円偏光2色性、SPR、質量分析、溶液X線/中性子線散乱、NMR
5.生物物理による生命現象の理解(ケーススタディ):生体膜マイクロドメインにおけるシグナル処理の分子機構

(樫森)
1.コンピュータの中に生命現象を捉える
2.生命現象の計算物理的研究(in silico的研究):ミクロとマクロをつなぐ方法論
3.人工生命の研究:適応進化の原理
4.複雑系としての生命現象の研究:自己組織化、臨界現象、同期、カオス、計算可能性など
5.in silico的研究の実例:細胞集団、脳、群知能など
6.今後の展望

教科書・参考書等

*

関連科目・履修の条件等

なし

成績評価

出席およびレポートによる

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