自然界の基本法則と基本粒子を研究する素粒子物理学がどのように成立したかを実験事実に基づいて概説する。まず、湯川理論から始めて強い相互作用の特徴を見る。次に、パリティ非保存とニュートリノを中心に弱い相互作用を述べる。さらに、今日的話題としてCP非保存を量子力学の干渉効果の観点から解説する。電弱統一理論を含む標準模型とそれを超える試みにも、時間の許す範囲で触れる。
自然界の基本法則と基本構成粒子を探求する素粒子物理学について講義する。今日の素粒子物理学は標準模型と呼ばれる理論の枠組みでよく記述できる。このような理解がどのようにして得られているかを、具体的な実験事実に基づいて理解することを目標にする。一方、これらの現象や理論は、現代物理学の柱となっている量子力学と特殊相対論を良く用いるだけでなく、自然界でのそれらの具体的な現れを調べる良い舞台でもある。そのため、講義では素粒子物理学という素材を通して、量子力学などをよりよく理解することがもうひとつの目標である。
1)自然単位系、相対論的運動学
2)素粒子の種類、4つの力(相互作用)
3)素粒子の性質、対称性と保存則
4)クォークと強い相互作用
5)レプトンと弱い相互作用
6)対称性の破れ
7)クォーク混合、ニュートリノ振動
8)実験的手法(加速器、測定器)
講義の中で適宜提示する
量子力学を習得していることが望ましい
出席、レポート等により評価する
積極的に授業に参加し、質問することを期待しています