生物物理学概論   Introduction to Biophysics

文字サイズ 

担当教員
林 宣宏  樫森 与志喜 
使用教室
 
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
5221
シラバス更新日
2010年6月2日
講義資料更新日
2010年3月22日
学期
前期  /  推奨学期:7

講義概要

I 生物物理学は,生物現象を物理(学)的な“目”で捉えようとする学問である。その研究領域は,従来の生物学の枠を越えて広い分野にまたがっている。本講義では,生物を見る物理(学)的な“目”を意識しつつ,次のテーマについて述べたい。
II 1. 生物現象の物理的理解,タンパク質及び核酸の構造と機能,生体機能を司る機械の構造とメカニズム,最新の物理的研究法
 2. 生体高分子の統計力学,DNAの相移転,遺伝子の構造・機能・進化,ヒトゲノムプロジェクト
 3. 生体膜の基礎知識,膜内での分子の振舞,膜タンパク質の拡散と光ピンセット法の応用,細胞膜の2次元編制
III 生命という複雑な現象を探る方法として従来の実験的および理論的方法に加えて,最近,コンピュータ物理学をベースにして生命現象を研究する方法が有力になりつつある。この方法はinsilico的研究と呼ばれている。本講義では,このin silico的研究の内容および人工生命,複雑系の研究との関係を説明し,この方法と従来の方法との相補的な役割について知ってもらうことを目的とする。

講義の目的

生物物理学は、生物現象を物理(学)的な“目”で捉えようとする学問である。その研究領域は、従来の生物学の枠を越えて広い分野にまたがっている。本講義では次の二つのテーマを扱う。
Ⅰ. 生命という複雑な現象を探る方法として従来の実験的および理論的方法に加えて、最近、コンピュータ物理学をベースにして生命現象を研究する方法が有力になりつつある。この方法は、in silico的研究と呼ばれている。本講義では、このin silico的研究の内容および人工生命、複雑系の研究との関係を説明し、この方法と従来の方法との相補的な役割について知ってもらうことを目的とする(樫森講師)。
Ⅱ. あまりに複雑で神秘的にさえ見える生命現象も、分子レベルの微視的な素過程まで突き詰めると各々は単純な物理化学現象で成り立っている。しかし、それらが複合的かつ融合的に作動するとき、複雑さが単に増加するだけにとどまらず、質的に異なる“物理化学現象”が生まれる。これこそが生命の本質である。生物物理学が究極に目指すのは、この素過程から生命への質的変貌の解明である。本講義では、生命の本質的な理解に至るべく、生体分子の物性、機能構造、相互作用の分子メカニズムを解説するとともに、それを調べる実験手法についても学ぶ(林講師)。

講義計画

(樫森)
1. 生命とコンピュータのかかわり
2. 生命の in silico 的研究
3. 人工生命の研究
4. 複雑系の研究
5. in silico 的研究の方法
6. in silico的研究の実例
7. 今後の展望

日時:6/4(金) 6/11(金) 6/18(金) 5~8時限 13:20~16:30
場所:西3-W332講義室


(林)
1. Introduction:生体分子総覧
2. タンパク質分子の機能構造の成り立ち
3. 核酸分子の機能構造の成り立ち
4. 生体分子を観るための段階的アプローチ;円偏光2色性、SPR、質量分析、溶液X線/中性子線散乱、NMR
5. 生物物理による生命現象の理解(ケーススタディ):生体膜マイクロドメインにおけるシグナル処理の分子機構

日時:5/ 7(金) 5/21(金) 5/28(金) 5~8時限 13:20-16:30
場所:西3-W332講義室

関連科目・履修の条件等

なし

成績評価

出席およびレポートによる

このページのトップへ