Kolmogorov により測度論を土台として構築された現代確率論の基礎について,
他の解析学との関連に注意しながら講義する.ただし,必要に応じて,
微積分に基づく(測度論的でない)近代確率論から話を展開する.
測度論を用いて確率論の諸概念を定式化すると共に,確率論の基本定理
(大数の法則、中心極限定理など)を証明することを目標とする.
1. 確率空間と確率測度
2. 確率変数,確率分布,期待値
3. 独立性
4. 確率変数列の収束
5. 大数の法則と関連する話題
6. 特性関数,分布の収束と中心極限定理
7. 発展的な話題(ランダムウォーク,ブラウン運動, 統計物理における確率模型,
数理ファイナンスの基礎 等から適宜話題を選ぶ)
舟木 直久:「確率論」(朝倉書店)
熊谷 隆:「確率論」(共立出版)
西尾 真喜子:「確率論」(実教出版)
(教科書は指定しない)
「応用解析序論」「実解析第一」を履修していることが望ましい.
試験は期末試験・レポート等により総合的に評価する.
確率論は「実世界」との強い相互作用のもとで発展してきた.
測度論にもとづく確率論は近年注目されている数理ファイナンスなどにおいても威力を発揮している.