集合と位相第二   Set and Topology II

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担当教員
芥川 和雄(芥川 一雄) 
使用教室
木3-4(H137)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
5002
シラバス更新日
2015年5月29日
講義資料更新日
2014年9月18日
学期
後期  /  推奨学期:4

講義概要

 3学期の「集合と位相第一」の距離空間に引き続き,この講義では一般の位相空間を学習する.

講義の目的

 位相構造は,二つの集合の間の写像“連続である”と言う概念を定式化するために,必要な数学的構造として導入された.
距離空間においては,“近い・遠い”と言う概念が明確に定義され,連続と言う概念も“近い点どうしを近い点に移す”と言った具合に自然に定義される.
問題は距離構造が無い一般の場合に,連続と言う概念をどのように定義するかである.一般の位相構造も,緩やかな意味で“近い・遠い”と言う概念を抽象化したものとよく説明されているが,この説明は理解のあいまいさを生みやすい.距離空間の場合に,距離構造を敢えて使わず,開集合と言う概念を導入し,それのみを使い同値な連続の概念の定義が出来るのである.この観察により,連続の定義には,距離構造は必要なく,開集合の概念があればよいこととなる.
 現代数学の記述体系として,先ず対象(object)と呼ばれる集合上に数学的構造を導入したものを考え,次にそれらの対象の間の射(morophism)と呼ばれる写像として与えられた数学的構造を保存・反映するものを考える.この対象と射の組で一つのカテゴリー(category)と呼ばれるものが形成される.
ただ位相空間(集合+位相構造)の場合は,「先に射である連続写像の概念が要求され,その概念を成立させるに相応しい最小限の数学的構造である位相構造と言う概念が生み出された」,と考えるのが自然である. このことを一旦理解すれば,位相構造の必然性の納得は容易であろう.

 習得すべき内容のキーワードは,連続写像,分離公理,コンパクト性,連結性,完備性などである.
分離公理などの必然性なども併せて理解してほしい.

講義計画

1. 位相空間,
2. 積空間と商空間,
3. 位相的性質:分離公理・コンパクト性・局所コンパクト性・連結性など,
4. 完備性距離空間
注:講義の内容や順序は状況に応じて変更することがありうる.

教科書・参考書等

・教科書:内田伏一 『集合と位相』 (裳華房・数学シリーズ)
・参考書1:松坂和夫 『集合・位相入門』 (岩波書店)・・・集合論の記述が丁寧である.
・参考書2:大田春外(はると) 『はじめての集合と位相』 (日本評論社)・・・位相空間論が苦手な人のために.

関連科目・履修の条件等

「幾何学演習A」を併せて学習申告すること.併せて申告しない場合は申告不許可とする.
ただし,「幾何学演習A」の単位を修得済みの再履修生はこの限りではない.

成績評価

成績は中間試験・期末試験および適宜取る出席状況等により総合的に評価する.

担当教員の一言

 集合論や位相空間論の全体像や数学における位置づけを整理・把握することが肝心である.
でも第一歩は,個々の定義の意味を理解すること,個々の命題を論理的にフォローすることである.
それが出来ての後の,全体像の把握である.

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