Kolmogorov によって確立された近代確率論(測度論的確率論)の基礎について、他の解析学との関連に注意しながら講義する。
確率論の基本定理(中心極限定理、大数の法則等)を中心に解説しそれを通じて確率論的な考え方を修得させる。
さらにランダムウォークやブラウン運動にも触れる予定。
1.初等率論からの2,3の例題
2.確率空間の導入
3.確率空間、確率変数、分布、期待値
4.期待値に関する収束定理、事象列と確率変数列の独立性
5.大数の弱法則、Kolmogorov の定理
6.ボレル・カンテリの補題,大数の強法則、Kolmogorov の定理
7.ランダムウォーク I: 再帰性の判定条件、1次元ランダムウォーク
8.ランダムウォーク II: 2次元ランダムウォークの再帰性と3次元の非再帰性
9.特性関数と分布の収束
10.分布の収束定理とその中心極限定理への応用
・熊谷 隆:「確率論」--新しい解析学の流れ(共立出版 2003)
・西尾真喜子:「確率論」(実教出版 2003)
実解析第一、実解析第二, 応用解析序論を履修していることが望ましい。
関数解析学、複素解析学なども素養があれば具体的な計算等に役立つ。
試験にレポートの成績を加味する。
確率論は「実世界」との強い相互作用のもとで発展してきた。
自然科学や社会科学さらに最近のファイナンス理論などでも測度論にもとづいた抽象的な確率論は威力を発揮している。