無限次元空間での解析の基礎となる関数解析を講義する.関数解析はEuclid空間を自然に無限次元化して得られる空間とその上の写像に関する理論であり,現代数学の土台となる概念・方法である.有限次元と無限次元の相違を強調しつつ,関数解析について基礎から解説する.具体的には,Hilbert空間,Rieszの表現定理,Banach空間,有界作用素,Hahn-Banachの拡張定理などを解説する.
既に皆さんは有限次元の線型代数学を学びました。
この授業では その無限次元 version の基本を学びます。
応用についても説明します。
1. ノルム空間(完備性、Hilbert空間、Banach 空間、Lp 空間など)
2. Hilbert 空間における直交性(射影定理、完全直交系など)
3. 線形作用素(有界作用素、compact 作用素など)
4. 線形汎関数と共役空間
(Riesz の表現定理、弱収束、Hahn-Banach の拡張定理、共役作用素など)
5. レゾルベントとスペクトル
教科書は指定しない。参考書として以下の本をあげておく。
藤田宏著「理解から応用への関数解析」岩波書店.
増田久弥著「関数解析」裳華房.
黒田成俊著「関数解析」共立出版.
岡本久・中村周:関数解析1(岩波書店).
G. B. Folland, Real analysis; modern techniques and their applications, John Wiley.
M. Reed and B. Simon: Methods of Modern Mathematical Physics, Vol I, Acdemic Press.
解析概論(第一,第二),集合・位相(第一,第二)、応用解析序論、実解析第一を履修していることが望ましい。
内容的には実解析第二と関連が深い。
レポート、期末試験等の結果を総合的に評価する。
解析系の分野を志す者は、この科目を実解析第二とともに履修することを強く勧める。
理解を確かなものにするために 関連の演習(解析学演習C第二)はとても重要である。
特別なことがない限り、合わせて履修すべきである。