現代的な解析学の基礎となる積分論を講義する。具体的には,素朴な面積の概念を抽象化した測度という概念について考察し,Lebesgue測度およびそれを基にしたLebesgue積分を定義する。そして応用上極めて有用なFatouの補題,Lebesgueの収束定理,Fubiniの定理などを解説する。
長さ・面積・体積の概念の抽象化としての測度の理論とそれに基づくルベーグ式の
積分論は、現代解析学の重要な柱の一つと考えられている。この授業では、
リーマン積分論と対比しつつ、測度と積分の理論の基礎的な事項を学ぶ。
以下の項目について学ぶ。
1.測度 (有限加法性、完全加法性、外測度、完備化、Lebesgue 測度)
2.Lebesgue 積分(定義と性質、収束定理とその応用、Riemann 積分との関係)
3.直積測度とFubini の定理
4.その他(時間に余裕がでた場合)
教科書は指定しない。参考書として以下の本をあげておく。
G. B. Folland, Real analysis; modern techniques and their
applications, John Wiley.
W. Rudin, Real and complex analysis, McGraw-Hill.
伊藤清三著「ルベーグ積分入門」裳華房.
吉田 伸生著「ルベーグ積分入門―使うための理論と演習」遊星社.
小谷真一著「測度と確率1」岩波講座 現代数学の基礎.
高木貞治著「解析概論」岩波書店(の第9章).
解析概論,集合と位相,応用解析序論を履修していることが望ましい。
特に集合論の初歩および微積分学を習得していないと講義内容を理解することは
困難である。
レポート、期末試験等の結果を総合的に評価する。
将来解析系の分野を志す者は、実解析第二、関数解析とともに履修することを
強く勧める。関連の演習(解析学演習C第一)は重要であるので、特別なことが
ない限り必ず履修すべきである。