材料が,人間の意図しない形で変形したり,破壊したりすることは,工業製品の信頼性という観点からは,あってはならないことになります.したがって,我々が安心・安全に暮らしていける社会を作るためには,材料そのものの信頼性を高める必要があります.
一方,材料の変形や破壊には,必ず,材料の構造や組織に依存した特有のメカニズムが存在します.そのメカニズムを知ることで,逆に,材料を変形しにくくしたり,破壊しにくくすることができます.そういったことを,この講義では,解説しますので,将来,研究者・技術者になる皆さんにとって,工業材料の機械的性質について,幅広い知識を理解してもらえればと思っています.
講義名が高温構造材料特論なので,講義の半分は,構造用のセラミックスについての話になりますが,残りの部分をそれぞれ半分づつに分けて,金属の話とポリマーの話もしています.
金属,ポリマー,セラミックスにおける変形と破壊,強化メカニズムについて解説し,工業材料一般についてのの幅広い理解をしてもらうことを目的としている.また,これらの材料の種類とプロセスについても,一部,解説する.
1. 弾性
2. 金属転位論,結晶粒界,金属材料各論,金属の強化メカニズム
3. 粘弾性論,ポリマー材料各論
4. セラミックス材料の概論,主な構造用セラミックスの種類とプロセス,窒化ケイ素セラミックスと焼結(多々見純一先生:横浜国大),アルミナセラミックスと成形(田中諭先生;長岡技科大)
5. 破壊力学(応力論,エネルギー論),セラミックスの高靱化メカニズム,セラミックスの破壊統計(ワイブル分布)
6. スロークラックグロース,疲労,熱応力破壊
毎回,講義資料を配付する.
材料系の学生だけでなく,化学工学,機械工学,電気工学,建設工学など,幅広い分野の学生に,工業材料の変形と破壊について,幅広く理解してもらうように,基礎的な部分から説き起こすような講義を組み立てているので,特に,事前の予備知識は必要としていない.
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最近では,金属,ポリマー,セラミックスが単体で工業製品として使われることはなく,必ず,これらを組み合わせて使われているので,これら3種の材料についての幅広い知識が,社会に出てから,必要とされる.また,機能性の材料であっても,システムに組み込む際には,必ず,ハンドリングされ,また,輸送の際には振動が加わるので,機能性の材料においても,変形や破壊は,とても重要な基本的な性質となる.信頼性の高い工業製品を作る上でも,材料の変形と破壊は,技術者・研究者にとって必要とされる基礎知識である.
メール:kyasuda@ceram.titech.ac.jp
電話番号:03-5734-2526
いつでも構いませんが,事前に,日程確認をしてください.