ハドロンとは強い相互作用をする粒子の総称である。ハドロンの物理は素粒子物理や原子核物理、場の理論、宇宙物理と密接な関係がある。本講義では演習形式を取り入れ、履修者が問題を解くことによって自分のこれまでの知識を確認し、更に具体的な問題に取り組む機会を提供する。クォークとグルーオンのゲージ理論である量子色力学(QCD)が中心だが、相対論的運動学、非相対論的・相対論的量子力学、群論などの問題も扱う。
素粒子標準模型の一部である量子色力学(QCD)を具体的な問題に即して理解することを目的とする。講義中には演習形式を多く用い、実際に問題を解く。実験装置の実演・見学を行う。
1.素粒子標準模型の中の量子色力学
対称性と変換の群、
香り(フレーバー)と色の自由度
色の閉じ込め、漸近的自由性
2.2つのフェルミ粒子の系
陽子-陽子散乱、重陽子、反陽子-陽子原子と反陽子-陽子散乱
中間子:クォーク・反クォークの系
3.3つのフェルミ粒子の系としてのバリオン
価クォークと構成子クォーク
スピンと磁気双極子モーメント
4.弾性散乱と形状因子
電気形状因子と磁気形状因子
5.深非弾性散乱と構造関数
陽子と中性子のクォーク・グルーオン構造
陽子と中性子のスピンのクォーク・グルーオン構造
グルーオンと海クォークの役割
6.ジェットの物理
7.実験の手法: プラスチックシンチレータ、電磁カロリメータ、チェレンコフ・カウンター、マルチワイヤー・プロポーショナル
チェンバー、ドリフト・チェンバーなど
長島順清「素粒子物理学の基礎I,II」朝倉書店
なし
演習の成績、試験、レポートなど
積極的な質問を歓迎します