クォークとグルーオンのゲージ理論であるQCDとそれが関わる現象とを解説する。この講義ではハドロンの構造や反応を通じてQCDの性質を理解することを目的とする。高エネルギーでの摂動論理的QCDや低エネルギーでのカラーの閉じ込めも紹介する。主な内容は,1.量子色力学,2.クォーク模型,3.束縛された系としてのハドロン,4.高エネルギーレプトン・ハドロン反応と構造関数,5.陽子のスピン構造
素粒子標準模型の一部である量子色力学(QCD)を現実の問題に即して理解し、QCDが新しい物理の展開にどのように寄与するかを学ぶ。
1. 素粒子標準模型の中の量子色力学
香り(フレーバー)と色の自由度
カラーの閉じ込め、漸近的自由性
2. 2つのフェルミ粒子の系としての中間子
反陽子-陽子原子と低エネルギー反陽子-陽子散乱
中間子:クォーク・反クォークの系
3. 3つのフェルミ粒子の系としてのバリオン
価クォークと構成子クォーク
スピンと磁気双極子モーメント
4. 弾性散乱と形状因子
電気形状因子と磁気形状因子
5. 深非弾性散乱と構造関数
陽子と中性子のクォーク・グルーオン構造
陽子と中性子のスピンのクォーク・グルーオン構造
グルーオンと海クォークの役割
6.漸近的自由性
QCDの発展方程式
7. ジェットの物理
講義中に紹介する。
なし
レポートなど。
積極的な質問を歓迎します。