倫理とは人間の選択する行為の規範である。倫理は、しつけや教育によって社会的に形成されるだけでなく、個人の意思のもとで形成されるので、人間の幸福にも深く関わっている。また、倫理は個人の内面に形成された規範であることで、社会的に制度化された法規範と異なっているが、現代社会では、多様な行動規範やガイドラインが整備されることにより、内面的な行為規範と制度化された社会規範の間は狭まっている。本講義では、以上のような倫理の本質について論じるとともに、生命倫理、環境倫理、企業倫理、科学技術倫理等について論じる。
古代ギリシアや古代中国で始まった倫理学的な探求が多様な展開を経て、現代社会においてどのような倫理的な問題として論じられているかという観点から講義を行う。古典的な倫理学の主題である「幸福」や「正義」について、また、複雑化する現代社会で求められる倫理的課題の特質について理解する。
1.イントロダクション
2.倫理はどのように研究されるか
3.倫理はどのように形成されるか
4.行為の構造と倫理的葛藤
5.幸福とはなにか
6.正義とはなにか
7.人柄とはなにか
8.快楽と苦痛
9.理性と感性
10.生命倫理
11.医療倫理
12.環境倫理
13.企業倫理
14.科学技術倫理
15.総括
そのつど用意する。
この科目は、平成18年度以降の入学生には文系科目、17年度以前の入学生には文系基礎科目の単位として認定されます。
試験
科学者・技術者が知っておくべき倫理的な課題と問題解決の方法についても論じる。
連 絡 先:大岡山西9号館9階917号室(3256)