合理的思考の技術   Techniques for Rational Analysis

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担当教員
小林 憲正 
使用教室
月5-6(W934)  
単位数
講義:2  演習:0  実験:0
講義コード
0187
シラバス更新日
2014年4月29日
講義資料更新日
2014年7月31日
アクセス指標
学期
前期  /  推奨学期:3
補足資料

講義概要

「合理的選択 rational choice」とは、複数の選択肢を評価し、評価値が最大のものを選ぶ決定の仕方を表す専門用語であり、ミクロ経済学やゲーム理論の根幹をなす。
不確実性、多属性、多主体など、様々な環境下における合理的選択パラダイムの展開を体感し、批判的に検討することを通じて、合理的思考について多角的・主体的にに追求するきっかけを得ることが本講義の狙いである。
論理的思考にまつわることを勉強する目的で、論理学を勉強することに相当すると理解してもらいたい。

Rational choice is a technical term that represents utility maximizing behavior. The lecture develops rational choice paradigm under various situations including uncertain and interactive decision situations. Rather than learning procedural skills, students taking the course hopefully enhance the attitude of critical thinking.

Twitter ハッシュタグ #合理的思考の技術(https://twitter.com/search?f=realtime&q=%23%E5%90%88%E7%90%86%E7%9A%84%E6%80%9D%E8%80%83%E3%81%AE%E6%8A%80%E8%A1%93&src=hash)

講義の目的

== 合理的に思考する技術を身につける(社会工学的)==
Acquire skills to think rationally (social engineering)
- 意思決定分析 decision analysis
- インフルエンス・ダイアグラム influence diagram

== 人々が合理的に行動すると仮定して、そのメカニズムを理解し、利用する技術を身につける(社会科学的) ==
Assuming that people act rationally, understand and utilize the mechanism underlying the actions.
- コミュニケーション communication
- 社会規範 social norms
など

== 実際にはそれほど合理的でないかもしれない人々の意思決定を対比的に理解する(理念型 ideal model 的) ==
Use rational choice model as an ideal model to understand the real people that are not necessarily rational.
- 行動経済学 behavioral economics

講義計画

Introduction -- 合理的選択パラダイム Rational choice paradigm

合理的選択理論の基礎 Basis of rational choice theory:
- 意思決定分析 decision analysis
- 標準形ゲーム normal-form game
- 展開形ゲーム extensive-form game

コミュニケーション戦略 communication strategy:
- チープトーク cheap talk
- シグナリング signaling
- 交渉 bargaining


問題構造化 problem structuring:
- 様々な問題構造化手法 Problem Structuring Methods
- インフルエンス・ダイアグラム influence diagram

心的モデルについて On mental models:
- 認知フレーム cognitive frames
- 行動意思決定論 behavioral decision theory
- 繰り返しゲームと慣習・規範 repeated games and customs/social norms

教科書・参考書等

OCW 上の講義ノートを基本的な講義資料とします。

教科書相当の文献:
- Hammond et al. (1999). Smart Choices: A Practical Guide to Making Better Decisions, Harvard Business School Press
- Gilboa, I. (2010). Rational Choice, MIT Press
- Osborne, M. and Rubinstein, A. (1994). A Course in Game Theory, MIT Press
- 岡田章 (2011). ゲーム理論 新版, 有斐閣

その他 参考文献:
- 小林憲正 (2011). 合理的選択パラダイムと心・認識, オペレーションズ・リサーチ 機関誌 Vol 56, No 10. 567-575(http://ci.nii.ac.jp/naid/110008750520/)
- 梶井厚志 (2002). 戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する, 中公新書
- 松井彰彦 (2002). 慣習と規範の経済学 -- ゲーム理論からのメッセージ, 東洋経済新報社
- Gilboa, I. (2010). Making Better Decisions: Decision Theory in Practice, Wiley-Blackwell
- 梶井厚志、松井彰彦 (2000). ミクロ経済学 戦略的アプローチ, 日本評論社
- 竹村和久 (2009). 行動意思決定論 -- 経済行動の心理学, 日本評論社


参考文献・URL は随時アップデート。

成績評価

成績評価がすごく複雑なので、初回講義に出席できなかった単位取得希望者は、シラバスの以下の記述を精読の上、分からない箇所については教官に質問すること。

成績 =
試験(80点満点)
+ 実験・宿題関連ポイント(得点 --> 補正後 平均 20点)
+ 優秀小論ポイント(教官に独断で優秀と認定された小論一本ごとに 20点)、おもしろ小論ポイント(教官に独断でおもしろいと認定された小論一本ごとに 10点)
+ 質問・コメント ポイント(教官の独断でおもしろいと思ったコメント・質問1つにつき各 2 点)

・試験
- 過去問を講義資料としてアップしてあります。試験準備の参考にしてください。
- 講義ノート、教科書・論文など、インターネット接続可能な端末を含め、他人の迷惑にならない限り、なんでも持ち込み可です。ただし、人間の持ち込みはご遠慮ください。
- 試験時間中に音を立てて話をすることは他の方の迷惑になりますので、控えてください。
- インターネット接続可能な端末の利用に際し、skype チャットなどを含めたインタラクティブなやりとりは禁止です。


・実験・宿題
- 講義中での実験や宿題で、様々な意思決定問題にとりくんでもらいます。そこで得られた得点を補正して成績に換算します。

・小論
- テーマは、教員が出した課題に答えても構わないし、自分で気になるテーマで小論を展開してもよいです。
- 原則、各講義ごとに OCW に小論課題をアップしたいと思います。
- OCW-i での小論提出締切は管理の便宜上、課題が出た次の週とします。しかし、メールへの添付や講義での紙での提出などは締め切りはありません。例えば、初期の頃の小論課題テーマが講義の後半になって心に突き刺さってきた場合、チャレンジしてもらうのは大歓迎なわけです。
- 優秀・おもしろ小論については、提出者の希望に従い匿名・実名・ペンネームのいずれかで、講義中や講義サイトなどで、引用、もしくは公表する可能性があることをご承知おきください。例えば OCW-i やメール添付による提出であれば、本文に匿名・実名・ペンネームのどれによる公表が希望かを明記してください。
- 優秀・おもしろ小論については、公表することを考慮し、科学論文の世界同様、同じ系統の議論については、ボーナス・ポイントは早い者勝ちとします。
 ただし、時系列の順序は、講義開始時刻を区切りに考えます。区切り内で提出された小論はすべて「同時」提出扱いとします。
- 優秀小論、おもしろ小論は絶対評価です。たくさん選抜されることもあるかもしれないし、一本も選抜されないこともありえます。
- 分量は自由(ラジオの投稿と違って、長くても大歓迎!!!超短くても、キラリと光るものがあれば、採用されるかも!)
- 量より質を重視してください。適当な品質の長いレポートを書いても、優秀小論に採用される可能性は相当低いです。
- 提出方法は、優秀論文の公開の都合上、OCW-i への pdf 形式による提出が教官にとって便利です。ただし、電子ファイルE-メールへの添付、メールボックスや講義での紙媒体の提出もあり。紙媒体の場合、教官がスキャンして処理します。
- 優秀小論はハードルを高く設定します。そこで、科学論文の査読・修正と同様のシステムをとることとします。おもしろ小論レベル未満の小論は reject 扱いとさせていただきます。おもしろ小論以上のレベルの小論については、ご希望に応じて査読したいので、例えば OCW-i からの提出であれば、優秀小論を目指す場合はその旨を明記下さい。


・質問・コメント
- 講義中・講義直後の質問・コメントで成績がほしい方は、講義後に学籍番号・氏名と質問・コメントを記した紙を教員に渡してください。こちらからは出席シートのようなものは用意しません。
- Twitter については、#合理的思考の技術 を定期的に検索にかけます。そこでのコメント・質問を適宜拾います。
- OCW 掲示板の質問・コメントスレや教員のメールもコメント・質問にご利用ください。

連絡先(メール、電話番号)

Mail -- nkoba@valdes.titech.ac.jp
内線 2262 (03-5734-2262)
大岡山西9号館8階805号室 メールボックス W9-47
URL :http://www.valdes.titech.ac.jp/~nkoba/index_j.html
Twitter -- @decsci

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Essays and the exam can be written in English.
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